ステイホームの巻

バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワーカンパニーズ鈴木圭介の自意識爆発エッセイ集『深夜ポンコツ』から傑作コラムを特別公開!「たとえ今が冬だったとしても、季節は巡る。春はまた来るのだ!」

僕は、フラワーカンパニーズというバンドで、ボーカルとブルースハープ、それにギターを少しと作詞作曲をしている鈴木圭介という者です。当初、この単行本は4月の後半に出版する予定でしたが、あまりにも状況が状況なので、もう少し落ち着くのを待つことになりました。予定では5月末に出ます。

4月の初めに緊急事態宣言が出てから、生活は一変しました。食料品や日用品の買い出し以外、ひたすらステイホームの毎日。もともとインドア人間なので、家にこもるということに関してはほぼノーストレスで暮らせると思っていた。しかし現実はそんな甘くはなかった。

今まで、3日間ぐらいの休みは家から一歩も出なくてもストレスを感じることなんかなかった。それは当然の話で、自ら選んで家から出なかっただけ。今回はそれとは明らかに違う。出たくても出られない。それにテレビをつければコロナコロナと悲しい情報が頭のてっぺんから降りかかる。朝から晩まで毎日毎日コロナの情報を浴び続ける。さすがに参ってしまう。 もちろんそれは僕だけではない。みんな同じような状況だ。いや、医療従事者の人たちはこんなもんじゃないだろう。想像すればするほど、ため息しか出なくなる……。

そんな中、バンドマンを含めたエンターテインメント業界も今大変な状況に置かれている。近いところではライブハウスにイベンターさん、照明さんに音響さん、舞台関係の仕事に携わっている人たち、みんなが日々大きな不安と戦っている。 僕らのライフワークであるライブは、いわゆる「三密」に当てはまってしまうため、今は一切できない。だから、その場所となるライブハウスは特に深刻。実際に倒産してしまうところも出てきた。札幌にあるコロニーというライブハウスは4月の半ばにいきなり閉店に追い込まれてしまった。コロニーは僕らも20年近くお世話になっていたライブハウスで、来年、実は2DAYSライブをやる予定だった。それがいきなり閉店。とてもショックで、聞いたときはしばらく放心状態になった。

そんなライブハウスを含めたエンターテインメント業界は、一番最初、それこそ緊急事態宣言がでる1ヶ月も前の2月末から自粛をせざるをえなくなり、おそらく新型コロナが少しずつ収束したとしても最後まで自粛しなくてはならないだろう。 その中でもライブハウスでライブができるのは、最後の最後になるんじゃないだろうか。大丈夫だろうか?自分たちや仲間のバンドもそうだが、ライブハウス。もってくれるだろうか?なんとかもって欲しい。もってくれないと困る。頼む。もってくれ!

とにかく、今はひたすらステイホームの期間であり、不要不急以外は外に出ないということが一番の解決策。不安になってばかりいたら免疫力は下がる一方だ。 コロナの情報をモロに浴び続けていたらメンタルもやられる。適度にバランスをとりながら、今自分にできることをやらねば。深刻な状況だし、深刻に受け止めなければいけないんだが、笑うということやバカみたいにでっかい夢を想像すること、そういうことが免疫力を高めるということも忘れないでおきたい。 例えば、聴いてこなかったジャンルの音楽を聴いてみたり、昔、読んでもさっぱりわからなかった哲学書に再挑戦してみたり、深夜、誰にも見せる事のない詩を書いてみたり、ネットフリックスで「男はつらいよ」シリーズを始めから順番に観てみたり、静かに記憶を辿ってみたり、とてつもなく明るい未来を絵に書いてみたり、今まで気にも止めなかった道端に咲く花の名前を考えてみたり……。世界はまだまだ面白い事だらけだ。

一刻も早い終息を願い、そして祈ります。

2020年5月下旬発売!フラワーカンパニーズ鈴木圭介『深夜ポンコツ』特別公開!

深夜ポンコツ

鈴木圭介
左右社
2020-06-08

この連載について

深夜ポンコツ

鈴木圭介

バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワ...もっと読む

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