SF短編集「ピュア」

相手の変化に付き合うってのが、愛ってもんじゃない?」

2020年4月に刊行されたばかりの小野美由紀さんの作品集『ピュア』から、収録作のひとつ「バースデー」を毎日更新で全文公開します。
もしもずっと一緒に過ごしていた幼なじみの大親友が、夏休みの間に「変身」してしまったら? ある女子高に起こった「性」をめぐる事件を描いた、少し不思議な青春小説です。
(連載第5回)

 ちえは学校に来なくなった。

 サクちゃんが1週間後に、堂島は転校した、ってクラスのみんなに朝礼で告げて、悲しがったりショック受けてる子もいたけど、やっぱりみんな、どっかでホッとしたような顔してた。私はそれきりちえとメッセのやり取りもしてなくて、何かを言おうにもなんて言っていいかわかんなくて、クラスの子に興味本位でちえの事、聞かれてもヘラヘラ笑ってごまかすしかなかった。

11月15日

 うちのばあちゃんは人間関係は因果応報だからね、優しくした分だけ優しくされるし、傷つけるとその分傷つくんだよって言ってたの、ふーん、聞き流してたけどまさかこのタイミングで思い知るとは思わなかった。

 ちえの姿を見たのは隣の街のショッピングモールで、クラスの友達2人と遊びに行って別れた後のことだった。

 友達って言ってもグループ学習の時とかにたまに絡むくらいの間柄だけど、ちえが転校した後、あまりに凹んでる私を誘ってくれて、ま、お情けだよね、私も最近どっこも遊びに行ってなかったから、気晴らしにはちょうどいいやって2人についてきて、プリ撮ってGU行って最近流行ってるわさびシェイク飲んでバイバイして、一人ですぐ帰るのもあれだしってんでなんの意味もなく館内をぶらぶらしたとこ。そんな時に見てしまったのだ、私服のちえと、可愛い—ちょっと、見たことないくらいの可愛い女の子が—楽しそうに二人で歩いてんのを。

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ピュア

小野 美由紀
早川書房
2020-04-16

この連載について

初回を読む
SF短編集「ピュア」

SFマガジン /小野美由紀

SFマガジン6月号に掲載された小野美由紀氏の「ピュア」を特別公開します。タイトルの通り、ある純粋な性と生を描く遠い未来の物語です。

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Hayakawashobo 連載第5回。ぜひ連休のお供に。 7ヶ月前 replyretweetfavorite