レズ風俗に来るのはレズビアンだけなの?#18

世界初の対話型レズ風俗「Relieve」のオーナー兼キャストとして活躍する橘みつさん。初めてのお客さん、じゅりさんとホテルに入ります。始める前にみつさんはじゅりさんにあることを聞くのでした。

じゅりさんは白いバスローブを着て、ベッドの脇に腰掛けている。部屋の照明はわたしがシャワーを浴びている間に暗くなっていて、すべての輪郭が曖昧に闇に溶けていきそうだ。外の明るさも喧騒も、ここには届かない。後ろからベッドに近づきながら、わたしの頭は素早くシミュレーションする。最初にキスをする、じゅりさんを横にする、そしてバスローブの紐を外す。相手の上になって、体だけを求める。そして体の接触だけで終わる。

「じゅりさん」

思わず声に出してしまうと、静寂に沈んでいたこの部屋にわずかにさざ波が立つ。隣に腰掛けると、じゅりさんの黒い瞳がついと下からあがる。

「今日はどうして、レズ風俗を使おうって思ったんですか?」

じゅりさんはほんの少しだけ首を傾げる。そういえば年上の女性と密室で顔を合わせるなんて、滅多にない。黙ると不思議な存在感があった。

「じゅりさんのことをよく知らないままじゃ、うまくできないんじゃないかって思って。変に思われるかもしれませんけど」対面でこれだけ近くにいるのに、薄暗いのと逆光のせいで彼女の顔はよく見えない。じゅりさんの体がわずかに動く。「私のこと、ですか……えっと何だろう」じゅりさんの声が揺れる。一定だった音の波がわずかに崩れてその下には新しいうねり。「あ、もしかして私何か変なことしてました? 実はこういうお店、一回利用したことはあるんですけど、まだよく慣れてなくて」

来た。わたしは聞いた。「何かきっかけがあって来てくれたんですか?」

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レズ風俗で働くわたしが、他人の人生に本気でぶつかってきた話

橘みつ

世界初の対話型レズ風俗「Relieve」のオーナー兼キャストとして活躍する著者は、なぜ、レズ風俗で働くのでしょうか? お客さんの「人生のきっかけ」を共に探したいと願い、これまで200人以上に向き合ってきた彼女が、どんな人生をおくり、い...もっと読む

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