第9回 春

ついに作戦決行! 未来はロロの自宅に緊張しつつも電話をかける。未来たちの“作戦”とは? そしてロロはどんな反応を見せるのか?
大ヒットボーカロイド小説『桜ノ雨』シリーズの第2弾『桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡』の一部を紹介します。シリーズ最新刊『Fire◎Flower』も発売中!


 トルルルルル……。トルルルルル……。
 その日の夜、わたしは学年主任の先生から聞いた番号に電話をかけていた。
 かけている先はロロの自宅だ。今どき携帯ではなく、家にかけるのは少々気が引けたけど。携帯番号はわからないようなので仕方がなかった。
 緊張のあまり、思わず受話器を握る手に力が入る。
 ガチャ。
—はい、もしもし?』
 あのときのお手伝いさんの声だ。
「あ、あの! 夜分に失礼いたします。わたくし、先日お伺いさせていただきました音浜高校合唱部の……」
『あらまあ。先日はありがとうございました。今、坊ちゃんのお部屋にお繋ぎしますね』
 柔らかな声がわたしの緊張と解いてくれた。あの日、会話した時間は少しだったけど、どこか人をホッとさせる空気の方だった。
 数秒後、ガチャリと無造作な音がする。
 受話器越しでもわかる不機嫌そうな声に、わたしは思わず背筋を伸ばした。

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桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡

雨宮ひとみ /halyosy

「もしも、初音ミクが女子高生だったら・・・」で話題となったボーカロイド小説『桜ノ雨』シリーズ。第三弾として、スピンオフ作品『Fire◎Flower』が8月28日に発売されました。 それを記念して、シリーズ第2弾にあたる『桜ノ雨 僕ら...もっと読む

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