第7回 春

ロロの自宅まで勧誘をしに行った未来たち。でも、ロロの頑なな心は動かず……。しかも、去り際にロロが残したセリフに、未来は大ショック!?
大ヒットボーカロイド小説『桜ノ雨』シリーズの第2弾『桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡』の一部を紹介します。シリーズ最新刊『Fire◎Flower』も発売中!

 
ひと通りの話を聞いた後、最初に口を開いたのは海斗先生だった。
「でも授業は受けなきゃいけないだろう? まだ先だけど受験だってあるし。あと単位ってものを取らないと、卒業出来ないよ」
 ロロは首を振った。
「いや、俺、あっちで大学の勉強まで済ませてるんで……」
「え? そうなの?」
「はい。それにもしもこっちの大学に行きたい場合は、大検受けるって手もあるし。なので、やっぱ学校行く必要がないんですよ」

 わたしは「待って」と思わず身を乗り出した。
「勉強はどうにかなっても、あなたのやりたかったことは、やっぱり学校に行かなきゃできないと思うんだ」
「………」
 ロロは下を向いたまま何も言わない。
 鈴とめぐも立ち上がった。
「そうだよ」
「うん」
「ずっと家にいるなんて勿体ないじゃん! 一度しかない十代なのに!」
「そうだよ! あと、うちの学校、春先には校庭一面に桜が咲いて、すごくきれいなの。あれは絶対に見たほうがいいと思うんだ」
 その後もいくつかの説得の言葉をわたしたちは述べた。でもロロの表情は変わらなかった。
「もともと行く気はなかったんだ……。ただなんとなく、気まぐれで合唱部の門を叩こうとしただけで。だからわるいけど、もう帰ってくれないか。俺から話すことはもうないんで。それに—」
 ロロが発した、それに—から続く言葉。わたしは突然、ボールを当てられてしまったときのような、そんなショックを受けた。

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桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡

雨宮ひとみ /halyosy

「もしも、初音ミクが女子高生だったら・・・」で話題となったボーカロイド小説『桜ノ雨』シリーズ。第三弾として、スピンオフ作品『Fire◎Flower』が8月28日に発売されました。 それを記念して、シリーズ第2弾にあたる『桜ノ雨 僕ら...もっと読む

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