※ 『週刊ダイヤモンド』2019年11月9日号より転載(肩書・数値などは掲載当時)
椅子に座ると心拍などの体調の情報をセンサーが計測し、従業員の健康状態が把握できる──。
2019年春、ソフトバンクとその傘下のワイヤレス・シティ・プランニング、シャープ、イトーキなどが、スマートオフィスの実現を目指して広島県東広島市で行った実証試験の内容だ。
椅子の他にも温度や湿度、気圧などを測定するセンサーを東広島市役所の室内に多数配置。センサーを高密度に設置した環境下でも、5Gの特徴である同時多接続の特徴を生かし、リアルタイムにデータ収集ができるかどうかをチェックした。
労働環境の改善を目指して実施された試験なのだが、この内容を耳にしたあるメーカーの幹部は、こんな感想を漏らした。
「椅子に座るたびに課金すればいい。これが5Gの稼ぎ方だ」
5Gが真価を発揮するのはIoTと組み合わせたときだ。センサーなどから得た情報を基に、ユーザーが「いつ」「どこで」「どれだけ」利用したのかをリアルタイムで把握できるようになる。
あらゆるモノが5Gでつながる。これにより、椅子は売り切り型ではなく、何分座ったのかという時間に応じて課金するという新しいビジネスが生まれるのだ。
KDDIの髙橋誠社長が、グループ会社ソラコムのIoTを活用した面白い事例としてアピールするのが「ふくやIoT」だ。
ふくやは福岡市の明太子メーカー。冷蔵庫に入る専用ケースに設置されたセンサーのデータがふくやに送られ、明太子がなくなりそうになると自動で届ける。IoTは「インターネット・オブ・たらこ」の略だそうだ。「他の分野でもこうしたビジネスが広がっていく。これが5Gの世界だ」と髙橋社長は強調する。
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