クラスの女子を不良から守り、正義感が芽生えた
藤野 アイエスエフネット社の名刺のお名前って、手書きのようですね。
渡邉 これは私達のグループ会社に所属する障がい者の方に書いてもらった字を、印刷しているんです。この方の親は書道家で、障がいを持って生まれた彼に、生きるすべとして習字を教えた。だから、僕はこの字で彼を活かさなければと思ったんです。その方法が、名刺でした。今はこの名刺に名前を書くサービスを、約40社に販売しています。
藤野 他社でも採用されているんですね。とてもインパクトがあります。
渡邉 名刺は名前を覚えていただくために渡すものですからね。
藤野 アイエスエフネットグループでは、さまざまな就労困難者の雇用を生み出しています。このようなユニークな会社が生まれるまでには、どういう経緯があったのでしょうか。まずは、子どものころのお話を聞かせてください。
渡邉 小学校低学年のときの僕は、ぜんぜん勉強ができませんでした。いつもドリルが解けなくて、居残りさせられる毎日。劣等感の塊でした。でも小学3年のとき、担任の先生が絵を褒めてくれたんです。すごい勢いで、「幸義くん、上手ね! 天才的!」って、ぎゅーっと抱きしめてくれた。それがもう、うれしくて、うれしくて。それから、絵を習って、一生懸命描いたんです。すると、出す絵がコンクールで入選するようになりました(笑)。
藤野 すごいですね。
渡邉 この成功体験で、自分に自信がもてるようになりました。今僕は、障がい者に対しても、とにかく褒めるようにしています。そうすると、障がいが改善されることがあるんです。それまでずっとしゃべらなかった子が、しゃべるようになったり。
藤野 へええ!
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