私たちは「分かり合えない」という前提に立った方が、まとまれる。

新型コロナウイルスをめぐるさまざまな意思決定に対し、日本では意見が割れています。一方、多民族国家で人種や宗教もさまざまなマレーシアは、日本よりもずっとまとまることができていると言います。いったいどうしてなのでしょうか?

こんにちは。

GACKTさんが、日本のCOVID-19対応についてテレビで「狂ってますよ」「危機感がない」と言って話題になりました。

確かに彼がテレビで言った通り、日本と比べるとマレーシアの対応は早く、厳しいです。

患者数がまだ553人の時点で、大規模な集会でのクラスターを発見し、外出禁止令を出しました。

東南アジアでは四番目に厳しい措置だそうで、散歩もランニングもNG。
食品など以外の買い物に行けるのは一家で一人だけ。
保健省からは、スーパーから帰ったら、マスクはビニールに入れて捨てて、シャワーを浴びて、服を着替えるように指示されています。

インフラ系を除いた民間企業や政府機関も全て休みか自宅作業です。
街では軍隊と警察が監視し、違反すると逮捕です。

外出禁止令してほぼ1ヶ月、今週「そろそろ床屋を解禁する」と政府が発表したのですが、国民の側から反対意見が上がり、中止になったようです。

感染者の増え方は落ち着いてきて、患者数は4817人。死者も77人。
しかしまだまだ、連日100人くらいの感染者が出てるから、世論は慎重です。

政府は第二波、第三波に備えて、40,000床の病棟を建て始めました。
あっという間に病院を作ったので話題になっています。

マレーシアに住んでいて、いつも不思議なのは、普段のんびりしているこの国の人たちの、いざというときのスピード感。宗教がバラバラで行動様式に一つも共通点のない人たちが、まとまること。
GACKTさんも言われてましたが、少額な補償額にも関わらず、別に揉めてない。

もちろん「完璧に」対応してるわけじゃないし、まだまだどうなるかわからない。
それでも、現時点のマレーシアの人々から日本社会が学べることを書いてみます。


普段から余裕を持っておくことの大切さ

この危機が始まったとき、「あんなに普段から余裕がなくて、日本は大丈夫なのかな」と気がかりだった在外邦人は多かったのでは?

普段仕事していても、マレーシアの組織に比べ、日本の組織は驚くほど余裕がない。仕事量が多く、残業でこなしてる職場が多いようです。

マレーシアに来ると、コンビニやレストランの店員さんがのんびりお喋りしたり、携帯見ながら仕事してたりは普通です。

官公庁ものんびり仕事しているように見えます。
長蛇の列ができてても、スタッフ同士がお喋りしてたりします。

お医者さんも私立病院は値段が高いので、とても空いてて、一時間くらいじっくり話聞いてくれたりする(ただし、国立病院はほぼ無料なので、無茶苦茶混んでて普段から野戦病院さながらです)。

余裕がある理由のひとつは、無駄なことをやらないから。日本の会社が「顔合わせをしたい」とやってきても、「ビジネスに結びつかないからお断りです」と言われます。

日本は、コンビニエンス・ストアの店員さんに遊んでるヒマはなさそうですし、学校もお医者さんもいっぱいいっぱい。
ほぼ、同じ仕事してるのに不思議です。

ただ、日本人のその全員がキビキビしたところ、プロフェッショナルな感じに、外国人は感激するのです。

しかし、普段からやることが多すぎると、何かイレギュラーなことが起きても対応しにくい。

今回、年度末ということもあり、官公庁はどこも決算や報告書で忙しい時期ではなかったのかな? 普段から、残業続きで毎日午前様で働いてる人の職場では、もう余裕がない。

以前、マレーシアにきた日本の官公庁の人に「もう少しのんびりしてたらどうですか」って言ったら、「市民から通報されるから無理です」ってサラッと言ってました。書類仕事も山ほどあって、本当に大変そう。
税金で働くってなかなか厳しいです。

けど、それじゃイレギュラーな仕事があっても「じゃあ誰が対応できる?」ってことになってしまうのでは。

もちろん国民性も違う。
そうは言っても、昔はもう少し余裕があった気がします。
1960年代には、植木等が「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」と歌ったくらいです。
街も汚かったし、道路にはよくガムが落ちていて、電車に乗れば、椅子の間にゴミがよく挟まってた。
人々もお気楽サラリーマンを笑ってる余裕があった。

多分今も、仕事の総量は変わってないと思うけど、人々は「きちんとしなきゃ」が強くなって、やることを増やしすぎてはいないだろうか。

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怒らない力—マレーシアで教わったこと

野本響子

編集者・ライターの野本響子さんがマレーシアで暮らし始めて感じたのは、日本にくらべて驚くほど寛容なマレーシアの社会。「迷惑は掛け合うのが当たり前」「怒る人ほど損をする」など、日本の常識からしたら驚くことばかり。 この連載では、そんなマレ...もっと読む

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コメント

yuinsayan44 うんうん そうそう😄 6ヶ月前 replyretweetfavorite

consaba 野本響子  6ヶ月前 replyretweetfavorite

restart20141201 ゛宗教も人種もバラバラだから、「どうせ意見も合わないし、お互いほうっておこう」ってなる。「わかり合うこと」は最初から諦めてます。゛ https://t.co/wpmdCFX43V 6ヶ月前 replyretweetfavorite

maki17911301 ◼️レディース 4◼️ (この古い番組を  知っている方はいるのか?) 「議論と人格攻撃は分ける」 「余裕のある社会」へ https://t.co/o9xU0rP4y7 6ヶ月前 replyretweetfavorite