子どもを信じる!17時~21時「子育てのコアタイム」の楽しい乗り切り方

突然の離婚により、娘ふたりを育てることになった女装が趣味の小説家。「シングルファーザー」になってみると、彼にはこれまで想像もしなかったことが待ち受けていた……。今回は、ごはんの用意から身じたく、学校や保育園の送り迎えまで、超多忙な平日の過ごし方をご紹介します。

離婚して子どもたちを引き取ることになり、20年近く住んでいた東京から引っ越したのは2年前のことだった。

引っ越した先は、私の実家のある京都市。

実家の隣町にある、両親の持ち家を借りて暮らすことにした。

今回は、シングルファザーとして2人の娘たちを育てている女装パパの、平日の過ごし方をお伝えしたい。

女装パパ、娘の髪を結ぶのに苦労する

女装パパの悩みどころだが、日常的に女装をしているわけではない。

なにしろ小さな子どもを育てている親は忙しい。

平日の朝は7時に起きて、子どもたちを起こしてトイレに行かせる。

子どもたちが着替えをしている間に味噌汁を作り、ご飯をよそう。

ご飯を食べている子どもたちの背後に回って、手早く髪を結ぶのも習慣になっている。

女装をするとき、私はいつもストレートヘアのウィッグをつける。

女性の髪形は、ごてごて巻いてあったり結んであったりするものよりも、ストレートが一番だと考えている。

ところが子どもの髪形は、なぜか結んであるもののほうがかわいく思える。

娘たちの友達に会うたびに、頭をよく観察してどう結んであるのかを観察するのが癖になり、そのうち自分でもやってみるようになった。

慣れないうちは難しく、夕方に子どもたちを迎えに行くと2人ともぼっさぼさの頭で現れて笑いそうになった。

でも何回も動画を見ながら練習した甲斐があって、最近では編み込みもうまくできるようになり、次女の保育園の先生から

「お父さん髪くくんのどんどんパワーアップしてるやん!」

と褒めてもらえるほどになった。

ちなみに関西弁では結ぶことを「くくる」という。

うまくくくれるようになってくると楽しくなり、いまではほぼ毎朝くくっている。

だが子どもにはあまり喜ばれない。

じっとしているのが嫌いだし、どれだけかわいい髪型になっても自分の頭を肉眼で見ることはできないからだろう。

「くくらんでいいねん。痛いねん」

「ええやん。ちょっとくくらしてえな」

みたいな攻防を毎朝繰り広げている。

髪型がきまったところで眠気が抜けてきてふざけだす2人を急かして、長女にランドセルを背負わせる。

登校班の集合場所まで、次女を連れて送りに行くのは、1年生の後半あたりからとても気恥ずかしかった。

他の1年生の保護者たちも最初はついてきていたが、数カ月もすれば誰も来なくなったから。

でも長女に「ひとりで行くのは怖いし寂しい」と言われるとやめられない。

シングルファザーが考える「卒乳」「断乳」

子どもに母乳を飲ませるのをやめるときの母親の気持ちも、これに近いのかもな、と思うときがある。

「卒乳」「断乳」と呼ばれるその時期については、1歳になる頃が妥当だとか、子ども自身が求めるなら小学生になっても飲ませるべきだとか、さまざまな考え方があるらしい。

どの時期が最適なのかは、子ども目線で考えてそれぞれの親が決めるしかないだろう。

その後に、親自身の思いが湧いてくるのではないか。

—泣きわめいているわが子からおっぱいを取り上げるのはかわいそう。

—わが子と、もう少し長く密接に関わっていたい。

そんな思いを抱えながら、母親はその時期を過ごすのではないかと想像する。

こればかりは、出産を経験していない私にはわからない。

乳児の時期の子どもとの関係性において、私はそれまでになく大きな性差を感じた。

子どもが生まれて1~2年ほど、私と元妻は「女」「男」という、自分ではどうにもできないものに引き裂かれているかのように、コミュニケーションがうまく取れなかった。

いずれにしても、乳児はまだ母親と一体化している。

言葉を話せないどころか意思表示も曖昧にしかできないので、母親は懸命に、その意思を知り代弁しようとする。

私の子どもたちもそんなふうにして、1歳になってすぐの頃におっぱいから離れた。

その後も折に触れて、子どもを親から離れさせなければならない機会はやってきた。

たとえば、これはまだ離婚する前のことだが、初めて保育園に通わせたときに子どもたちは元妻や私から離れると泣きわめき、それを見て私も涙を流した。

私の不安に気がついたのか、当時の担任の保育士さんがこんな言葉をかけてくれた。

—離れている間に、お父さんが心配するとそれがお子さんに伝わります。

だからお子さんを信じて、笑顔で別れてあげてくださいね。

親離れ、子離れをする機会はこれから何度もでてくるだろう。

その度にこの言葉を思いだして前へ進みたい。

目玉焼きとソーセージ

長女を見送ってから一旦家に帰ると、8時過ぎになっている。

ここから次女の暇タイムが始まる。

弁当やコップなどを鞄にしまって保育園の準備を済ませると、暇を持て余して絵本を読んだりテレビを観たりして過ごすのだが、その間に私が二度寝をするときもあり、起きると心底暇そうにしているのだ。

「なあなあパパ、くまっちって知ってる?」

「知らん」

「ヤバいやん。ファントミ観られへんでパパ」

ファントミとは、「ファントミラージュ」というEテレのドラマの略称らしい。

「知らんやんそんなん」

「くまっちって、くまのぬいぐるみで、喋るねん」

「じゃあうちにあるぬいぐみが喋ったらどうする?」

「嫌や」

そんなどうでもいい会話をしているうちに、暇タイムのせいでテンションが下がり、グズりだす次女を急かして5分ほど歩き、保育園まで送る。

次女が荷物の整理をしているあいだ、寄り集まってくる子どもたちとひとしきりお喋りをしてから私は家に帰る。

打ち合わせや取材などのない日には、ひたすらパソコンの前に座って文章を書く。

行き詰まると、洗い物や洗濯や掃除をしたり、スーパーまで買い物に行ったり。

昼食にはだいたい、卵を2つ使った目玉焼きとソーセージを食べる。

毎日食べても飽きないし、メニューが決まっていると迷うこともないからだ。

子育てのコアタイム

17時過ぎになると学童まで長女を迎えにいき、帰り道にある保育園で次女と合流する。

家に帰ってから21時半頃までが、子育てのコアタイムだ。

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女装パパが「ママ」をしながら、家族と愛と性について考えてみた。

仙田学

突然の離婚により、娘ふたりを育てることになった女装趣味の小説家。「シングルファーザー」になってみると、彼にはこれまで想像もしなかったことが待ち受けていた。仕事と家事・育児に追われる日々、保育園や学校・ママ友との付き合い、尽きることのな...もっと読む

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chibicoo ファントミはテレ東やで(わざとかな?): 6ヶ月前 replyretweetfavorite