茶髪もヒゲも自己顕示の表れ
近年の企業では、上意下達の指示系統を改め、個人の自主性を重んじる風潮が定着しているという。自主性を求めるのは結構なことだ。「指示がなければ動けない」よりも「自らの判断で柔軟に対応できる」ほうがいいに決まっている。
ただ、自主的と自己中心的には、天と地ほどの差がある。自由の意味をはき違えてもらっては困る。組織である以上、最低限の常識やルールを身につけておく必要がある。
私はヤクルト、阪神、楽天を指揮していた間、長髪、茶髪、ヒゲを禁止していた。他球団でもピアスをしている選手には苦言を呈していたし、田中将大がモヒカンのような髪形をしてきたときも即座に戻すように命じた。
茶髪やヒゲを禁止するというと、「時代錯誤も甚だしい」「野球で結果を出せば見た目などどうでもいいのではないか」と反論を受けることも多い。だが、何と言われても持論を覆すつもりはない。
茶髪もヒゲも自己顕示の表れである。一言でいえば「目立ちたい」のである。だが、目立つなら野球のプレーで目立てばいい。外見で目立とうとしている時点で、本業に対する真剣味が足りないのである。
「茶髪にまでして結果を残せなかったらぶざまである。そこまで自分を追い込むという決意の表れである」
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