​名指しで自粛を要請されたバー店主の気持ち

日々深刻化している新型コロナウィルス問題、緊急事態宣言が出された東京で、バーを営んでいる林伸次さん。名指しで自粛を要請された業種であるバーの経営者の林さんは、今何を思うのでしょうか。

戦争ってこんな感じだったのかなあ

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

妻が突然、「戦争中ってこんな感じだったのかなあ」と言うので、なるほど、うまいこと言うなあ思いました。

ニュースや人の噂では、世界はすごいことになっていて、実際、買い物に行くと、商品棚はガラガラになった風景が当たり前になってきました。仕事のありかたや、行動範囲も制限され始めて、このままでは経済は最悪なことになるという観測も出て、でも、桜は咲いたり、スーパームーンが夜を照らしたり、あいかわらずみんな「食べること」とか「恋愛のこと」とかで頭の中ではいっぱいで、なんとなく不安な空気はあるものの、淡々といつもの日常が過ぎ去っていくこの感じ。

これって、たぶん、かつての日本の戦時中も、こんな感じだったんだなあと思いました。

たとえば、『はだしのゲン』って、学校に必ずあったので、ほぼみんな読んでいると思うのですが、最初の方は、「なんでもない日常」をずっと描写しますよね。あれはもちろん、「原爆が落ちた後と前の世界の対比」を表現するためだと思います。「こんななんでもない日常が、あの原爆で跡形もなく吹き飛んでしまった」っていうのを表現しようと作者が考えた上の描写だったはずですよね。でも、今の読者としては、「あ、戦時中の日本人の家庭って、普通の日常だったんだ」っていう事実に、ついつい目がいってしまいます。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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IuXaQsjzhWy8ctR 名指しで自粛を要請されたバー店主の気持ち|ワイングラスのむこう側|林伸次|cakes(ケイクス) 公開していない事がナゾです。  https://t.co/MMguTu5s6G 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

Mura_Mi https://t.co/YASqezWViJ 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

tamaki7x3 名指しで自粛を要請されたバー店主の気持ち|林伸次 @bar_bossa | 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

Kazukings1 名指しで自粛を要請されたバー店主の気持ち|林伸次 @bar_bossa | 約2ヶ月前 replyretweetfavorite