東大法学部はお荷物? 文脈が変われば強者と弱者は入れ替わる
茂木 おれね、ブログで東大法学部の「分割」と「民営化」について書いたんだけどさ。というのも、いま東大法学部って、東大の中でお荷物になりつつあるんだよ。
北川 ん? どういうことですか?
茂木 東大っていま、The Timesが発行しているThe Times Higher Educationの世界大学ランキングの順位を上げようと必死なんだ。その時に、法学部がすごく足を引っ張ってるの。だって、日本の法律を講義形式で教えてるだけだから、外国人学生比率も低いし、論文が引用される件数も少ない。たとえ、論文を英語で書いたとしても、日本の法制度に興味ある外国の学者なんてほとんどいないから、やっぱり引用されないと思う。
北川 ああー。
茂木 だからさ、もう法学部を分割して、日本の実定法を教えるところだけ別大学にすればいいと思うんだ。「東京法科大学」みたいな名前で。もしくは法科大学院に移す。名づけて、東大法学部分割・民営化計画。どう?
北川 それは……すごい構想ですね。
茂木 もちろん、世界大学ランキングもひとつの基準であって、その順位が高けりゃいいってものではないんだけど。でもおもしろいよね。これまでエリートと見られていた法学部が、国際的な文脈に放り込まれると、とたんにお荷物になるっていうのは。見方を変えると、強者と弱者が入れ替わる時代になっている。
北川 なるほどー、そういうことか。おもしろいな。
茂木 東大は「進振り」っていう制度があって、3年次からの進学先を、1,2年次の成績を基準に振り分けてるんだけど、去年、初めて文科一類から法学部への志望者が指定枠の人数を割ったそうだよ。つまり、志望すればどんな成績の人でも行けるってわけ。東大生も法学部の価値の低下を、なんとなく感じてるんじゃないかな。
北川 法学部の人気がなくなったってことは、経済学部などに流れているんでしょうか?
茂木 経済学部かどうかは知らないけど、構造的には経済学部のほうが国際化できるよね。経済学は世界的に発展してるし、現状では法学よりも将来性があると思う。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。