天才のつくり方

第25回】法は人を罰するためにある? 幸せにするためにある?

世界大学ランキングの順位を上げたい東大。そこで足を引っ張るのは、なんと、これまでエリートへの王道だと思われていた法学部でした。この問題に、北川さんは「悪行を取り締まるだけの法律は、もう古い」とポジティブなアプローチを提案します。そのアプローチは、今の学問の世界全体で起こっている「ビッグバン」にもつながっていました。

 東大法学部はお荷物? 文脈が変われば強者と弱者は入れ替わる

茂木 おれね、ブログで東大法学部の「分割」と「民営化」について書いたんだけどさ。というのも、いま東大法学部って、東大の中でお荷物になりつつあるんだよ。

北川 ん? どういうことですか?

茂木 東大っていま、The Timesが発行しているThe Times Higher Educationの世界大学ランキングの順位を上げようと必死なんだ。その時に、法学部がすごく足を引っ張ってるの。だって、日本の法律を講義形式で教えてるだけだから、外国人学生比率も低いし、論文が引用される件数も少ない。たとえ、論文を英語で書いたとしても、日本の法制度に興味ある外国の学者なんてほとんどいないから、やっぱり引用されないと思う。

北川 ああー。

茂木 だからさ、もう法学部を分割して、日本の実定法を教えるところだけ別大学にすればいいと思うんだ。「東京法科大学」みたいな名前で。もしくは法科大学院に移す。名づけて、東大法学部分割・民営化計画。どう?

北川 それは……すごい構想ですね。

茂木 もちろん、世界大学ランキングもひとつの基準であって、その順位が高けりゃいいってものではないんだけど。でもおもしろいよね。これまでエリートと見られていた法学部が、国際的な文脈に放り込まれると、とたんにお荷物になるっていうのは。見方を変えると、強者と弱者が入れ替わる時代になっている。

北川 なるほどー、そういうことか。おもしろいな。

茂木 東大は「進振り」っていう制度があって、3年次からの進学先を、1,2年次の成績を基準に振り分けてるんだけど、去年、初めて文科一類から法学部への志望者が指定枠の人数を割ったそうだよ。つまり、志望すればどんな成績の人でも行けるってわけ。東大生も法学部の価値の低下を、なんとなく感じてるんじゃないかな。

北川 法学部の人気がなくなったってことは、経済学部などに流れているんでしょうか?

茂木 経済学部かどうかは知らないけど、構造的には経済学部のほうが国際化できるよね。経済学は世界的に発展してるし、現状では法学よりも将来性があると思う。

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天才のつくり方

茂木健一郎 /北川拓也

日本経済が停滞して久しい。一方で、アメリカではIT産業の新しい成功モデルがどんどん生まれている。この違いはどこにあるのか。 ここで登場するのが2人の天才。高校卒業後、8年間ハーバード大学で活動している理論物理学者・北川拓也。一方、1...もっと読む

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コメント

maswosann これ気になるタイトル。。 約1年前 replyretweetfavorite

junkoyamazaki すごい時代や! 4年以上前 replyretweetfavorite

radwimpsry すごく共感。 4年以上前 replyretweetfavorite

yaiask 13:30まで無料。学問にも、盛り上がってるとことそうでないとこがある。おもしろい 4年以上前 replyretweetfavorite