​逆さまの見方をしたらどうなのか

「すぐにびっくりする」「うるさい場所を嫌がる」…。5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。HSCの子を育てる親向けに、「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。『子どもの敏感さに困ったら読む本』をcakesで特別連載!(毎週木曜更新)

逆さまの見方をしたらどうなのか

 ある子どもの親が、虐待行為をしていることが判明したときのことです。私はひとつの気づきを得ました。
 それを知って私が怒りながら、「ひどい! 許せません。ああいう悪い親はなんとかしないとダメです」と言うと、あるスーパーバイザーからこう言われました。 「ひどいですね、私もそう思います。しかし、長沼先生、『悪』って本当にそんなに悪いことでしょうか?」

「もちろんですよ。『悪』は破壊です。ものを壊し、めちゃくちゃにする。人を傷つける。絶対に許せません」

 私は迷わずそう答えたのです。
 それに対して、その人はこう言い返してきました。

「そうかもしれません。でも、破壊するから新しいものが生まれるわけです。破壊されてしまったから、新しいものを作ろうとする力が湧く。そう考えれば、『悪』によって破壊されることにもよい面があると思えませんか?」

「あっ、そう言われればそうか……」

 たしかに、物事を変えるには変化していかなければいけません。変化とは新しいものに生まれ変わることです。私は、悪というものをただ悪いとだけ決めつけ、悪の持つ「裏の意味」「本質の意味」を見ようとしていなかったことに、そのときはたと気づかされたのです。 「それに、『悪』があるからこそ、世の中に『善』が生まれるんじゃありませんか」 その人はさらにそう言いました。

 こういう対話をしてから、私は「ものごとにはすべて、表もあれば裏もある」と思うようになったのです。
 何ごとにも両面がある。逆さまの見方をしたらどうなのか。そういう視点で子どもたちの反抗だとか非行を捉えると、これまでとはまったく別の形に見えてきました。 見方を変えたら、非行も悪とは言えないのではないか。子どもは大人から「悪いことをしている」と言われるような行動をすることで、現状を破壊しているわけです。それは、感情的に「壊さずにはいられないものがある」からなのです。親が子どもに押しつけている問題を、「おかしいのではないか」と親に突きつけ返したい。その抵抗活動だと考えると、彼らの気持ちがわかってきます。
 知らずしらずのうちに築いていた壁を壊してしまうと、見えなかったところが見えてくる。親子の、家族の問題の本質が見えてきます。

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子どもの敏感さに困ったら

長沼 睦雄

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Sao_days 逆さまの見方をしたらどうなのか|子どもの敏感さに困ったら|長沼 睦雄|cakes(ケイクス) この記事を読む前に自分で気がついたことを褒めてあげたい。 悪から得られるものはある!と。 https://t.co/oz1KF6us0a 5ヶ月前 replyretweetfavorite

MaxHeart24 。→逆さまの見方をしたらどうなのか|長沼 睦雄| 5ヶ月前 replyretweetfavorite

yomimonocom 「見方を変えたら、非行も悪とは言えないのではないか。 」 HSPの第一人者、長沼睦雄医師の連載「子どもの敏感さに困ったら」 第57回「逆さまの見方をしたらどうなのか」がcakesにて公開!(毎週木曜更新) https://t.co/ORdQrW0Qcg 5ヶ月前 replyretweetfavorite