マイレージ戦略とその活用法
鳥海高太朗(航空・旅行アナリスト、城西国際大学観光学部助手)/1978年千葉県生まれ。2007年に城西国際大学観光学部助手に就任。航空アライアンスのマーケティング戦略やウェブでの航空券、宿泊予約サービスの研究を行っている。
レガシーキャリアの魅力の一つがマイレージプログラム。LCCにはないサービスとして、これまで以上にレガシーキャリアにとっては顧客を確保する上で重要なマーケティングツールとなるだろう。
歴史を振り返ってみると、1981年にアメリカン航空がリピーターを獲得する手段としてスタートし、日系エアラインでも、90年代にサービスを開始。現在ではアライアンス(航空連合)に加盟するエアラインを中心にほとんどのレガシーキャリアでサービスが展開されている。
マイレージはそもそも、飛行機に乗って貯めたポイント(マイル)を特典航空券に交換するシステムであった。
しかし、年に数回しか飛行機を利用しない顧客に対しても、マイレージが身近な存在であってほしいと考えるエアラインは、提携クレジットカードの利用額に応じてマイルを付与する新しい試みを始めた。
カードによって換算率は異なるが、100円利用ごとに1マイル付与が一般的で、従来のカード会社のポイントよりも還元率が高いことから、「陸(おか)マイラー」という新しい言葉も生まれ、エアライン各社では2000年代前半を中心に入会キャンペーンを積極的に行うなど、会員数は大幅に増加した。
その後は、電子マネーとの提携が進められた。
全日本空輸(ANA)は03年に「Edy」(現・楽天Edy)と提携し、200円利用ごとに1マイルが貯まる仕組みを構築。日本航空(JAL)もイオン系「WAON」と提携している。
コンビニエンスストアを中心に電子マネーを使う消費者も徐々に増え、電子マネー自体を日常の生活に浸透させるきっかけとなるとともに、少額決済でのマイル獲得も定着した。マイレージカードの会員数も年々増加し、11年3月現在、ANA、JAL共に2400万人近い会員数をそれぞれ集め、うち240万枚近くの提携クレジットカードが発行されている。
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