ビジネスモデル図解を自分のものにする

ビジネスモデル2.0図鑑』著者の近藤哲朗さんと、図解総研所属の沖山誠さんに、ビジネスモデル図解の作りかたを教えていただくこの連載。いよいよ最終回となる今回は、ビジネスモデル図解を自分のものにするための3つのコツと、どんな領域にも応用可能な「図解思考」について解説します。

ここまでの連載で、ビジネスモデル図解についてのノウハウを説明してきた。

最終回となる今回はまとめとして、ビジネスモデル図解を活用し自分の仕事に活かしてもらうために必要なポイントと、ビジネスモデル図解にとどまらない「図解思考」について説明しよう。

1.ビジネスモデル図解を理解する3ステップ

ビジネスモデル図解を自分のものにするまでには、以下の3つのステップがある。

・認識:たくさんのビジネスモデルを知る
・学習:ビジネスモデル図解の方法を学ぶ
・実践:自分の仕事で図解を取り入れる

まずは認識。いろいろなビジネスモデルを見ることで、自分の知らなかった事業に触れる。そうすると、自分の中にある常識にとらわれないようになり、思考の幅を広げることができる。

次に学習。3×3という同じ図解の「型」でビジネスモデルが表現されているのを見ていくことで、ビジネスモデル図解の読み解き方に慣れていく。事例ごとの構造の似ている点や、異なる点を比較することで、アイデアを広げていくことができる。

最後に実践。自分で図解をして、自分の仕事上で図解を取り入れることができる段階だ。

ここまで読んでくれた読者のみなさんは、学習までは到達したはずだ。いろいろなビジネスモデルがあると認識し、ビジネスモデル図解の構造やルールを学習してきた。最後のステージは実践だ。

2.ビジネスモデル図解を自分のものにするための3つのコツ

まずは自分の会社のビジネスモデルを図解してみるといいだろう。ただ、実践してみるとわかるが、いざ自分で図解を作ってみると「この主体はこっちに配置するべきだろうか? それともこっちだろうか?」「この主体を加えたいけれど、スペースが足りない」と悩むことが出てくる。

ここでは、そんなときに役立つ3つのポイントを紹介しよう。この3つのポイントは、ビジネスモデルを自分のものにするために必要なものでもある。


A.図解の目的を決めること

繰り返し、なんども説明してきたが、ビジネスモデル図解はコミュニケーションツールである。そのため、誰に、なんのために伝えるか? ということが重要だ。たとえば、投資家や銀行に対して投資判断を仰ぐためだったり、資金調達が目的だったり、取引先に対しての受注促進が目的だったり、社員に対して新規事業を促進させるためだったり、経営陣に対して稟議を通すために使うこともありうる。目的と伝える相手によって図解の表現は変わる。誰になんのために伝えるかをしっかりと考えたうえで、図解を作成しよう。

B.図解はルールを理解して作ること

3×3のルールを前にして、初めて図解を作成する人が口にすることは「もっとマス目が欲しい」ということだ。しかし、ビジネスモデル図解は、あえて3×3のマス目だけでビジネスモデルを表現することで、構造的にシンプルな表現にせざるを得ないようにしている。なぜなら、シンプルにする過程で情報を取捨選択する必要に迫られるため、ビジネスモデルにとって重要な情報の優先順位がつけられるからだ。そうすることで、伝えるべき情報を伝えるべき相手に届けることができる。そうしたルールの意味を理解した上で、その制約を味方にして図解を作ることを心がけよう。

C.レビューをしあうこと

良い図解は第三者の視点を意識して作られたものである。ビジネスモデルについて伝えたい内容が多かったり、その事業に対しての想いが強い状態で一人で図解を完成させてしまうと、その内容は独善的で自分にしか理解できない図解になってしまいがちだ。たとえば専門用語が多いと、相手次第では伝わりづらい図になってしまう。そうしたことを避けるために、第三者の視点を取り入れ、レビューをしあいながら、わかりづらい点を指摘してもらいつつ、図解を完成させていこう。

上記の3つのポイントを押さえた上で、まずは自分の会社のビジネスモデルを図解してみてほしい。図解をしてみることで、意外に自分がその事業についての理解が及んでいないところが見えてきたり、課題が見えてきたり、逆に強みが可視化されたりするだろう。

そうした発見をもとに、他社の事業を図解して、構造の似ているところや違うところから学び、自社の問題を解決したり新しいビジネスモデルを開発してみてほしい。

3.図解思考について

(1)図解思考とは何か

そもそも図解とは、物事の「関係性」を解く手段である。誤解されがちであるが、図解は美しく対象を視覚化するための道具ではない。情報を構造化して優先度をつけ、何を伝えたいかを明確にする手段である。

図解は、「図で」「解く」と書く。特に、「解く」というのが大事である。

では、図解は何を解くのか。それは、関係性である。

ビジネスモデル図解も、コミュニケーションツールとして何を伝えたいのかという目的が重要だという話を繰り返ししてきた。ビジネスモデル図解について、多くの人は綺麗な図の方に注目しがちである。しかし、ビジネスモデル図解は、単にビジネスをシンプルなビジュアルで整理することが重要なのではなく、その事業について何を伝えたいのかというメッセージを明確にすることが重要なのである。

では、なんの関係性を解くのか。ビジネスモデル図解においては、そのビジネスの主体同士の関係性を解くことが重要である。なぜなら、前回も説明したとおり、そもそもビジネスとは異なる主体の関係性を作ることであるからだ。

では、主体同士はどのような関係性を作っているか。それは、価値の交換が成り立つ関係性である。


図解思考というのは僕たちの造語で、「ものごとを抽象化して構造を読み解き、相手にわかりやすく伝える一連の思考法」をさす。


この連載を通じて、ビジネスモデル図解がどのように情報の優先度をつけるのか、どのように価値の交換を表現するのか、ということを説明してきた。連載のテーマはビジネスモデル図解だが、図解思考の有効範囲はビジネスモデルだけに止まらない。どんな領域にも応用可能な、普遍的なツールである。

では、具体的にどのように図解を考えるか?

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ビジネスの仕組みがわかる 図解のつくりかた

沖山誠 /近藤哲朗

100のビジネスモデルを3×3のフォーマットで図解し、7万部を超えるベストセラーとなった『ビジネスモデル2.0図鑑』。自社や取引先のビジネスモデルを自分で図解できるようになれば、課題を発見したり、新たなビジネスチャンスをつかみやすくな...もっと読む

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