1.わかりづらくなる表現について
第1回から第4回までは、ビジネスモデル図解の作成ルールについて解説してきた。基本的に、これまでの内容を踏まえれば、図解を作成することはできるだろう。しかし、忘れてならないのは、図解はコミュニケーションツールであるということ。
そのため、自分で思い通りの図解ができたと思っても、相手に伝えたいことが伝わらなければ、図解としての役割を果たしたことにはならない。
そこで今回は、どうしたらより相手に伝わりやすい図解が作れるのか、ということについて解説していこう。
ビジネスモデル図解(略して「ビジモ図解」)は、3×3のマス目でシンプルに事業を表現するツールである。
この図解を用いる利点は、そのシンプルさにある。つまり、詳細に情報を記載する他のツール群と異なり、情報が限定されているがゆえに、伝えたいメッセージが伝わりやすいのだ。
しかし、これは当然、伝わるように情報を整理している場合に限られる。ビジモ図解を使うだけでなんでもシンプルに伝わるというわけではない。実際に、ワークショップなどでビジモ図解をしてもらうと、ビジモ図解の強みを活かしきれず、情報が伝わりづらい図になってしまうことが多い。
わかりにくくなる原因
では、なぜこのようなことが起きてしまうのか?
情報が伝わりづらくなるパターンは、以下のようなことが考えられる。
①何を伝えたいのかメッセージがクリアになっていない
②読み手の理解度を考慮していない
それぞれ、どういうことかを説明していこう。
①何を伝えたいのかメッセージがクリアになっていない
ビジネスモデル図解は、コミュニケーションツールである。誰になんのために伝えるのか、ということが重要というのは、第1回で述べたとおりだ。
しかし往々にして、ビジネスモデル図解を作ることが目的となってしまい、図解を通して何を伝えたいのかを考えることがおろそかになってしまうことがある。
そうすると何が起きるか。複雑なビジネスについて何の指針もないまま図解していくと、情報に優先度がないため、たくさんの情報を図の中に入れたくなってしまい、結局何が言いたいのかわからない図になってしまう。これではビジモ図解の「シンプルでわかりやすい」という強みを活かせず、中途半端な図解になってしまうのだ。
②読み手の理解度を考慮していない
メッセージを明確にして情報を絞れたとしても、その図内で使う用語などがわかりづらいことが多々ある。業界用語や専門用語など、一部の人にしかわからないような表現を多発してしまうのだ。
これによって、図解を見る相手がその単語を知らなかったときに、理解が追いつかなくなり、そもそも見てもらえないという事態に陥ってしまう。これは、伝えたい相手がいることを忘れ、自分の視点だけで図解を整理してしまう場合に生じる問題である。
2.どうしたらわかりやすくなるのか
1で説明した問題は、誰にでも起こりうるものである。図解の表現として、これらはなるべく避ける必要がある。そこで、そうした状況に陥らないように、どのように図解を進めていくべきかを解説していく。
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