誰が」運営する事業なのかを考える

ビジネスモデル2.0図鑑』著者の近藤哲朗さんと、図解総研所属の沖山誠さんに、ビジネスモデル図解の作りかたを教えていただくこの連載。第4回目は、ビジネスモデル図解の下段に位置する「事業者」についてどう考えるべきかを解説していきます。

1.事業者とはなにか?

前回は、ビジネスモデル図解の上段に位置する「利用者」に何を配置すればいいかを解説してきた。今回は、ビジネスモデル図解の下段に位置する「事業者」についてどう考えるべきかを解説する。

ビジネスモデル図解の解説をするときによく問われることが、「なぜ事業者と事業は分かれているのか?」ということだ。多くの人が混乱をする箇所だと思う。

ビジネスモデル図解で事業と事業者を分ける理由は、事業者によっては事業が複数あるためだ。図解を3×3におさめるというシンプルに構成するルールをもつ特性上、事業を単体で扱うことで情報量をおさえている。逆に言えば、複数の事業を同時に図解してしまうと、情報量がふえてシンプルな構成にしづらくなる。

そのため、単体の事業がテーマであることをより強く意識するために、事業を中央段に、事業者を下段に配置する。

2.事業者として考えられる主体は誰か?

事業者として図解に表現する必要がある主体は何だろう? 大きく、以下3つのどれかを指して、「事業者」と言えるだろう。

(1) その事業を運営している主体
(2) (1)と協業している主体
(3) (1)と資本関係にある主体

それぞれ解説していく。

(1)その事業を運営している主体

「事業者」という言葉で真っ先に浮かべるのはここだろう。対象の事業に経営資源を投下し、利用者から収益を得る主体だ。この事業者は中央下に位置する。

ただし、現代のビジネスは多様なステークホルダーと協力して経営資源をやりとりしながら、一つのビジネスモデルを構築するケースが多い。その場合、別の主体を事業者として表現する必要があり、そのために(1)だけで完結する事例は少ないだろう。そこで、(2)と(3)についても考える必要がある。

(2) (1)と協業している主体

(1)と一緒に運営している主体のこと。経営資源をその事業に対して割いている場合や、社内外の異なる事業をその事業と連携している場合などがある。

「Spotify」はいい事例だろう。「Spotify」とは、月間2億人のユーザーが利用する世界最大級の音楽ストリーミングサービスだ。

「Spotify」は、音楽配信を無料で提供する代わりに、広告モデルによって収益を上げている。そうした同社のビジネスモデルを実現するため、「レーベル」と「広告主」とそれぞれ協業関係にある。レーベルは音楽配信のために、広告主は広告を作るために必要な事業者だ。

これによって、ユーザーに楽曲という価値提供をするだけでなく、広告モデルとして収益が上がっていることを説明できる。

このように、自社のビジネスモデルを成立させるために多様なステークホルダーと協力関係にある場合、それについて事業者の段に記載する。

(3) (1)と資本関係にある主体

(1)に資本を提供しているとか、株式を完全に取得しているような主体があれば、それも事業者としてカウントするべきだろう。

その親会社のブランドや資本力によって、対象事業が成長しているということがあるかもしれない。また、資本を提供してもらっているということは、ビジネスモデル図解で表現するべきことが経済合理性ということもあり、表現することでビジネスの優位性が説明しやすい場合もある。

ここまで事業者の対象はどこまでを指すのか、という考え方について説明してきた。しかし、第3回と同様、そこからどう主体を絞り込んでいくのか? という点が重要になるだろう。

それについて、次から説明していく。

2.事業者をどのように絞り込むべきか?
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ビジネスの仕組みがわかる 図解のつくりかた

沖山誠 /近藤哲朗

100のビジネスモデルを3×3のフォーマットで図解し、7万部を超えるベストセラーとなった『ビジネスモデル2.0図鑑』。自社や取引先のビジネスモデルを自分で図解できるようになれば、課題を発見したり、新たなビジネスチャンスをつかみやすくな...もっと読む

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