「他人の手の平の上」で働いて楽しい?
日本には、かつて「あめぞうリンク」というネット掲示板がありました。一番盛り上がっていたのは、もう20年くらい前のことなので、知らない人のほうが多いかもしれません。
当時の僕は、あめぞうで遊ぶのも楽しいけれど、そうやって他人の手の平の上にいるより、自分で作ったもので遊びたいと思いました。それで作ったのが新たなネット掲示板「2ちゃんねる」です。
開設時はアメリカ留学中の春休みでヒマを持て余していたし、僕にはすでにプログラミングの知識もありました。そして自分が作ったものなら、仕様変更とかも好きにできます。何より、たとえ暇つぶしであっても、同じ自分の時間を費やすのなら、自分が作ったものに費やしたいと思ったわけです。
同じころに似たような掲示板を作った人は、僕以外にもたくさんいました。だけど最終的に2ちゃんねるだけが生き残り、僕はたくさんのお金を手にすることができました。
その要因はひとつではないけれど、そのころから僕が時間に追い立てられない生き方をしていたというのはデカい気がします。僕だけが、トラブルが起きてもすぐに対応できたし、なかなか儲けが出なくて他の人たちが見切りをつける中で、僕だけは続けていたのです。
今あるものに乗っかるっていうのは、自分じゃなくてもできることです。
そういう誰にでもできる仕事を続けて、人生の時間を切り売りしている限り、何も手に入らない。お金をたくさん稼げないことはもちろん、自分だけの技術とかセンスも磨かれません。
だったら自分だけの価値が手に入る方向にシフトしたほうがいいんじゃないかと僕は思うわけです。
人の手の平の上で働くのではなく、自分で一から作り上げるということです。
同じ人生の時間を使うのだったら、そのほうがお金もたくさん稼げるし、何より自分自身が楽しいですよ。
「起業して失敗」は、人生の中でおいしい経験
世の中には個人では到底できないような仕事も、もちろんあります。
予算200億円のデカいプロジェクトを動かすような仕事をしたいなら、大企業に身を置いたほうがチャンスは多いだろうし、それはそれで幸せですよね。
でも一方には、予算50万円とか100万円みたいなことで成り立つ仕事もある。
それくらいなら、ちょっと頑張ってお金を貯めれば自分でもできるだろうし、そのほうが絶対、他人のために自分の時間を切り売りするより楽しいと思うのです。
こう言うと、失敗するのが怖い、失敗したらおしまいだ、なんて思う人もいるかもしれません。
自分でやってみて失敗したら、再就職できないんじゃないか、と。
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