<嫌な仕事>
辞められない理由はなんだろう。 安心感? 安定感? 違う。
〝損切り〞に 臆病になっているのだ。
寿司職人Aさんの本業は、実はマンガ関連事業を手がける会社の経営だ。
日本には優れたマンガがたくさんあるのに、世界で広がる作品が限られているのは、絵の大部分がモノクロだからだという。
グローバル市場の標準に沿わせるには、カラー化が必須だ。そう考えたAさんは、日本の有名コミックの作画のカラーリングを請け負った。クオリティには定評があり、依頼が殺到しているそうだ。取引先の大半は、海外だという。
それまで、コミックの海外展開のためには現地に支社をつくり、何年も根回しが必要と考えられていた。しかし彼は「まずは絵のカラー化だ」という本質的な部分に気づき、作画のカラーリングの技術を磨いた。カラーリングの技術を持った会社が国内では限られており、いま海外市場へ向けた仕事は、ほぼ独占状態だという。
それも「修業を捨てて」得られた成功といえる。
修業の時間を捨てられない人たちのマインドは、いけてないサラリーマンに通じると思う。 cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。