「結果が出なければ自信を持つことができない」は誤り
人が自ら変わるために重要なのは自信を持つこと、すなわち自分を信じることである。
「結果が出れば自信がつく」と多くの人が考えている。逆に言うと、「結果が出なければ自信を持つことができない」ということになる。
しかし、本来は逆である。自信をもって臨むから結果が出るのである。ビクビクしながら物事に臨むのと、自信を持って臨むのとでは、結果は大きく異なる。当然、自信を持って臨めばよい結果を出すことができる。実際に、自信を持つことで大きな変貌を遂げ、飛躍する選手の姿を、私は何人も見てきた。
だから指導者は、まず何よりも、選手に自信をつけさせることを考えなければならない。では、どうすれば自信をつけさせることができるのか。その答えが知りたいなら、「人はどういうときに自信を失うか」を想像してみればいい。
先の見通しがつかないとき、次にどうすべきかがあやふやなとき、人は不安になり、自分を信じることができなくなるのである。
自信をつけなければ選手は伸びない。その事実を、私は自らの経験で痛感していた。
私はプロ5年目のシーズンに自信を喪失しかけた時期があった。前年にホームラン王を獲得していた私に対して、対戦相手の各チームが攻め方を工夫するようになって、まるで打てなくなった。特にカーブが苦手で、カーブで攻められると手も足も出ない。
そこで、弱点を克服しようと試みた。きっかけとなったのはメジャーリーグの偉大なバッターであるテッド・ウィリアムスの『バッティングの科学』という著書だ。そこに書いてあった文章に、私の目はくぎ付けになった。
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