第13回】東大初のサマープログラムに世界の名門から応募殺到! ハーバード、オックスフォードの学生を迎え撃った東大生の実力とは

この夏、東大生が世界の名門を迎え撃った。東大が初めてサマープログラムを開催し、そこにハーバード、オックスフォード、清華大等世界の名門から多くの学生たちが押しかけ、それを迎えた東大生も英語を駆使して大健闘したという。その内容をこのサマープログラムの仕掛け人の一人である、山崎繭加さんに聞いた。


東京大学イノベーションサマープログラムに参加した学生たち
(写真はすべて山崎氏提供)

この夏、東大生が世界の名門を迎え撃った。東大が初めてサマープログラムを開催し、そこにハーバード、オックスフォード、清華大等世界の名門から多くの学生たちが押しかけ、それを迎えた東大生も英語を駆使して大健闘したという。その内容をこのサマープログラムの仕掛け人の一人である、山崎繭加さんに聞いた。

東大サマープログラムに世界から28倍の応募が!

—この夏、東京大学でサマープログラムが開かれたそうですね。概要を教えてください。

東京大学イノベーションサマープログラム(Todai Innovation Summer Program)という名前で、東大としては初めてのサマープログラムでした。海外から30名、東大生30名、計60名が集まり、東大駒場キャンパスで講義、その後岩手県の大槌町にフィールドトリップに行く、という2週間のプログラムです。全部英語です。

今の日本でしか学べない、学ぶことに価値があるテーマにしよう、ということで、「クールジャパン」と「東北復興」を二大テーマとしています。また教育方法としては、創造的な発想を促進することを目的とするワークショップ形式のプログラムを展開している「東京大学i.school」の手法と、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)を中心に世界のビジネススクールで広く使われているような、事例に基づく議論を通じて学ぶケースメソッドの二本立てとしました。

—海外からはどんな学生がどれくらい集まったのですか?

今回が初めての開催でしたし、東大で開催するということでどこまで応募があるのか、正直かなり不安でした。i.schoolの創設者で、今回のサマープログラムの旗ふり役でもあった東大工学部の堀井秀之先生が「海外から300名ぐらいは来るかな」とおっしゃっているのを、「そんなに来るはずないよ」と悲観的に眺めていたのですが・・・。

ところが、ふたを開けてみると、プログラムのコンテンツが魅力的だったのか、さらには芸大や気鋭の若手プログラマーチームが作ってくれたかっこいいウェブサイトのパワーも手伝ってか、なんと海外から840名もの応募があったんです。

これまで東大で何かプログラムを開催する場合、"Todai"ブランドが効くアジアからの応募はそれなりにあっても、いわゆる欧米名門校からはそれほど反応がなかったそうです。でも今回は、もちろんアジアからは爆発的な応募がありましたし、アメリカのアイビーリーグやイギリスのオックスフォード大学などからも相当数の応募がありました。そのことを学内で伝えたら、どよめきが起こったと聞いています。

選考を経て、最終的に参加した学生たちの出身校は、ハーバード大学、オックスフォード大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、デルフト工科大学、清華大学、香港大学、上海交通大学、台湾国立大学、インドネシア大学、フィリピン大学、南京工科大学などなど。世界広しと言えども、このレベルの学生が各国から一同に集まるプログラムはなかなかないのでは、というグループができました。

東大生の英語力も捨てたものではない?

—迎え撃つ東大の学生はどうでしたか?

こちらは海外に比べるとゆるやかな競争倍率、約3倍から選ばれた30名。男女比は2対1ぐらい、3分の1が駒場の1−2年生(東大は最初の2年は駒場キャンパスで全員教養学部に所属)、残りが本郷の学部生で、大学院生は若干名。全体的には文系が多かったですが、なかには医学部、工学部、理学部の学生もいました。

参加した30名の東大生に加えて、東京大学学生国際交流機構という「東大生の国際化」をミッションとしたサークルから、10名程度がスタッフとして入っています。そのサークルのメンバーの大澤くんという学生は、プログラムの準備から2週間の運営まで、すべてを中心となって回しきり、それはそれは見事な働きぶりでした。ずーっと院生だと思っていたのですが、会期中にまだ学部生だということを知り、驚愕。立派な学部生がいるもんだなあ、と感心しました。

帰国子女らしき学生たちも何名かいましたが、大半はおそらく日本で英語を勉強してきた学生だったと思います。それでもちゃんと発言し、議論し、相手の意見に耳を傾けていました。私が学生だった1990年代後半はまだ英語ができるほうがむしろ”レアキャラ”という感じだったので、その時代と比べると隔世の感があります。やっぱり、感度のいい学生たちはきちんと世界の趨勢に呼応して、自らを鍛えているんだなと、とてもうれしく思いました。未来は明るい、です。

—60名の学生は2週間どんな時間を過ごしたのでしょうか。

8月1日から9日までは東京、9日夜から夜行バスで岩手県の大槌町に入り4日間のフィールドトリップをして、また夜行バスで東京に戻ってくるというスケジュールでした。東京の部は、i.school、ケースメソッドそれぞれ3つずつ、2日間のモジュールを用意し、各自i.schoolかケースメソッドかのどちらかを選んで半分に分かれて受講します。その間に、グループに分かれてのフィールドワークや絵を描くワークショップを差し込みました。毎日朝から夕方までてんこもりです。

私は疲れ果てて同行しなかったのですが、てんこもりの東京の部のあとは、これまたてんこもり、感動いっぱいの大槌町滞在だったようです。地元の高校生によるガイドツアー、ホームステイ、町に対する復興のアイディアの議論・発表などなど、最後は一人ずつ、何か立体的な「モノ」を作って、サマープログラムの感想をプレゼンしました。今、Facebookにアップされた動画を一つずつ見ているのですが、感動でこっちが泣きそうです。

—東大生と世界の同世代の学生、お互い刺激を受けたようですか? どのあたりに違いが出ていましたか?

私は計4日分の講義しか担当していないので、あくまでもそこから受けた印象ですが、日本の学生と海外の学生、という感じではなく、一つのグループとしていい空気ができていたのが、とても印象的でした。あと、先ほども述べたように、東大生もクラスでしっかり発言し議論していたので、正直なところそれほど大きな違いは感じなかったです。

ただ、私はあくまで講師・運営側の視線なので、より密な時間を過ごした海外からの学生たちに東大生の印象を聞いてみました。

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コメント

mojin 「世界の名門から多くの学生たちが押しかけ、それを迎えた東大生も英語を駆使して大健闘」っていうあたりがでまだまだだよなー。あるいは単なる著者のコンプレックス。みてるかも: 4年以上前 replyretweetfavorite