旧世代の価値観で「愚直」にやっても成功しない
新世代1億円プレーヤーは、目上の人たちを尊敬していない。
いや、もちろん表向きの態度としては丁寧に対応するのだが、心の底ではほとんど無視している。なぜなら、旧世代の価値観は時代遅れで、現代では通用しないことが多いからだ。
たとえば旧世代の価値観のひとつに、成功するまで「愚直にやる」とか「諦めない」というものがある。それらを全否定するわけではないが、何も考えずに愚直にやったとしても成果が得られるとは限らない。
私の例で恐縮だが、かつて不動産業をしていた頃、こんな「愚直励行」のアドバイスをもらったことがある。
「チラシを作って駅前で配れ! マンションにポスティングしろ!」
当時は尊敬する人物だったので試してはみたが、成果はゼロだった。チラシの中身を少しずつ変えたり、エリアを変えてみたりしたがダメだった。無名な中小企業の(しかも資産運用セミナーの宣伝)チラシだったから、むしろ怪しいと思われたのかもしれない。
ほかにも、たとえば料理の世界でよく聞く「下積み」。「皿洗い〇年、焼き場〇年」などと言われることもあるが、新世代にとっては時間の浪費にしか見えない。
短期集中で料理を覚えたら、すぐに開店。高級さや味にこだわるより、店のコンセプトやマーケティングにこだわったほうが経営としてはうまくいくという発想だ。それこそ「インスタ映え」する店舗・料理であれば、タダで広告宣伝になるだろう。
むろんビジネスに愚直さが不要というわけではない。効果が出る戦略を考えたうえでの愚直さでなければ、結果につながらないということだ。
「諦めない」というのも、当然ながら条件がある。研究開発分野などの例外はあるものの、同業他社と比べて優位性がないなら、諦めずにひたすら頑張っても、やがて資金が枯渇するだけだろう。
ケーキ1品で年商1億円超え
知人の新世代1億円プレーヤーに数年ぶりに連絡してみると、同じ領域でもビジネスモデルを変えて相変わらず稼いでいる人も少なくない。
たとえば情報商材(稼ぐノウハウを、PDFや動画で販売する商材)で一財産を築いた起業家は、初めは作る側にいたが、次に会ったときは紹介する側に回っていた。さらに今は、事業者と利用者をつなぐマッチングサイトで販売するモデルに変えて、生き残っている。
またこれは、別の経営者から聞いた東京都内のある飲食店経営者の話だ。
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