新世代1億円プレイヤーに「ワークライフバランス」という発想はない
1億円プレーヤーに限らず社会人全般に言えることだが、世代が古くなるほど「家族そっちのけで仕事に没頭」というタイプが多くなる。
彼らの時代は「妻は専業主婦が当たり前」という価値観だったがゆえに、夫は仕事、妻は家庭という役割分担がはっきりしていたからだろう。
そのひずみの結果が「ワークライフバランス」政策だと言える。家庭のことを顧みないために起こる様々な軋轢や社会問題を解消するため、「仕事と家庭のバランスを取りましょうよ」という動きだ。
ただし旧世代1億円プレーヤーはこれに興味を持つ人は多くなく、相変わらず仕事に没頭しているというのが私の印象だ。
一方、新世代1億円プレーヤーにも「ワークライフバランスを取らなければ」という意識は希薄だ。ただしその理由が旧世代とはちょっと違う。
彼らは、仕事に積極的に向き合うのは当然として、家事にも育児にも同じように積極的に参加しようという意識が強い。そのため「仕事のために家族を犠牲にする」という発想がもともとない。
仕事も家事も育児も、区別するものでもなければ夫婦のどちらかに負担が偏るべきものでもなく、「ワークとライフは一体である」という感覚を持っている。
これは「バランス」というよりも、むしろワークライフ「インテグレーション(統合)」と言い換えたほうが良いのかもしれない。
その背景には、いくつかの理由が考えられる。
よく言われるのが、夫婦共働きという形態が主流を占めるようになり、「家事も育児もできる人がやればいい」という価値観が浸透してきたこと。ただしこれは富裕層に限らず、昨今の若い世代の全体的な傾向とも言える。
では、新世代1億円プレーヤーならではの特徴とは何だろうか。
私は2つの点に注目している。ひとつは彼らがITを活用して、多様な働き方ができる仕組みをつくっていること。そしてもうひとつは、外部リソースの活用に抵抗がないことだ。
そもそも彼らは起業家だったり経営者だったりするので、会社の諸制度を自由に設計・変更できる。だからこそ彼らには「オンとオフを分ける」とか、「ワークとライフのバランスを取る」といった発想自体が不要なのだ。自分の都合に合わせて会社の仕組みを変えればいいだけなのだから。
そしてIT技術が進歩し、様々なサービスも出てきている今、それらを活用すればより自由な働き方が可能となる。柔軟に考えれば新たなアイデアが出てくる。
自分がいなくても会社がまわる仕組みとは?
たとえば私の知人に次のような人がいる。彼は日本国内に会社を持つ経営者なのだが、本人と家族はアメリカに住んでいる。アメリカにいるのは子どもの教育のためだという。
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