恋愛と株の話
【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「隣にいるのに遠くに感じる」というテーマでお送りしています。
ワッコ 前回、スピリチュアルや自己啓発にハマるパートナーに遠さを感じるというエピソードが出てきましたけど、「(遠いというより)怖い」という感想をツイッターでいくつか見かけました。
森田 相手がハマったのが自分の知らない領域だと、必要以上に警戒心が出ちゃう場合も多い気がする。
ワッコ 相手からすると「そこまでのものじゃないんだけどな……」ってなりそうですよね。
清田 これは俺の男友達に聞いた話なんだけど、長いこと付き合っている彼女が株をめっちゃやってることを最近はじめて知ったんだって。その時に、彼女のことを遠くに感じたみたい。
ワッコ 株……確かに遠いかもです。
清田 そういうことに疎い彼からすると、株はギャンブル的なイメージがあって、普段の彼女の姿と結びつかなかったらしい。
ワッコ モニター3個くらい並べて値動き見てる系?
森田 それはガチのデイトレーダー(笑)。
清田 イメージとしてはそんな感じだと思う。もっとも、実際の彼女はそういうのではなく、資産運用の一部をあててる的なあれで……おそらく貯金に近い感覚なんじゃないのかなとは思うけど。
森田 NISAとか、なんかそういう横文字のやつかなあ。俺も全然詳しくないんだけど。
ワッコ 誰も株についてちゃんと知らないから、すごいぼんやりした話になってる(笑)。
清田 桃山商事は、たまに株式会社と間違われるんだけどね。
森田 「商事」と名乗ってるから無理ないよ。就職活動中の学生さんから入社やインターン希望のメールが来ることもあるし。
清田 そのあたり説明して丁重にお断りしていますが……なぜか申し訳ない気持ちになるよね。
ワッコ 株の件に話を戻すんですが、もしかして彼は、彼女が資産をどんどん増やそうとしている=「1人で生きていくための地盤を固めている」んじゃないかみたいに考えちゃったのかなと思いました。「俺、必要ねえじゃん」って。
森田 なるほど。もしも彼が「男である自分が稼いで養わねば」的な考え方をする人であれば、そっちの方向に考えが進むこともあるかもだね。
清田 あとその状況だと、自分はお金や将来のことを何にも考えてないっていう、負い目やコンプレックスのような感情も湧きそうな気がする。
森田 わかる。俺もお金に関してはルーズで、計画的に考えることができなくて……ちゃんとしている妻との間でお金や貯金のことを話すと、自分が子供っぽく思える。
清田 俺も完全にそっち側の人間だから何も言えないけど、自分はいつまでも健康で働けるって漠然と考えていて、人生の危機に対する保険をちゃんとかけておかない男性の話とかよく聞くもんね……。
ワッコ お金に対する考え方って、距離を感じさせがちなのかもしれないですね。
ちんこの話をしていた男たちの現在
ワッコ 恋愛とは話が逸れるんですけど、さっきの株の話を聞いていて、わたしも似た感覚になるなと思ったことがあって……大学で仲良かった男友達数人と飲んでる時に、すごい距離を感じることがあるんです。
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