やることを決めるために「自分のサイズと持ち物」を知る

叶えたいことを整理するため、サクちゃんはまず物事の優先順位を決めたのだといいます。やりたいことがなくても、無理も背伸びもせず、笑って暮らすためにサクちゃんが考え続けてきたことを、新刊『世界は夢組と叶え組でできている』よりお届けします。

やりたいことをやる前に、困っている自分をたすける

30歳のとき、会社を辞めようと決めて辞表を提出してから、退社して独立するまでに2年かかった。仕事上の引き継ぎに最短で2年必要だったからで、わたしはせっかちなので長いなと思ったけど、辞めてから何をやるか決めるのに必要な時間でもあった。

その2年間、何をどう考えてやることを決めたか、わたしがしたことをひとことで言えば「優先順位を決める」だった。

会社を辞めようと決めた理由のひとつは、単純にその会社だとお給料が少なくて足りないから。もうひとつは、娘のあーちんが小学校に入ってから、夏休みは長いし放課後の時間ももて余してしまうので、学校以外の居場所をつくりたかったから。一緒に探そうとしても、わたしの労働時間に拘束があると何もできないからだった。さらにもうひとつは、会社では社長の考えに沿って働いていて(当たり前だけど)、自分の意見を抑えてしまうのが苦しかったので、自分で決めたい気持ちが大きくなったのもあった。

こうして書いてみると明らかなのが、「これをしたいから辞めたい」ではなく「足りないから」「できないから」と、不足ばかりがきっかけだった。つまり、そのままでは困るから、困りたくないから、自分で決めて行動しないといけなかった。

だから、会社を辞めたあとで何をするかを考えるときも「これをしたい」ではなく、「不足を埋める」が先決だった。今の状態から、何がイヤで、どうなるといいのかを考えて、叶えたいことの優先順位を決めた。

わたしの場合は、シングルマザーなので、生活費を稼ぐこと(共稼ぎの夫婦と同じくらい)と、時間を自由に使えることが、叶えたいことの優先順位の圧倒的上位だった。お金に心配がない状態で、自由になった時間で子供と一緒に夏休みをとったり、学校以外の居場所をつくったりしたかった。それを叶えるのに必要なのは、単純にいうと「今までの半分の時間で2倍稼ぐ」だった。

難易度が高いけれど、この上位ふたつを諦めないで叶えるために、どうしたらいいかだけをひたすら考えた。これを絶対にぶれない軸にして、自分のできることの中からやることを決めた。そのとき、「やってみたいことをする」や「楽しいことをする」は、優先順位の圏外にあった。

あとになってからみると、「時間とお金をつくる」という「やりたいこと」を叶えたとも言えるけど、当時のわたしは「やりたいことをやるとか言っている場合じゃない」と思っていた。それより、まず困っていることをなくすのが先で、何が不足で何が不満でどうしたいのかを考えて、解決するので精いっぱいだった。

できるかわからないけどやってみたいことを好きにできるというのは、贅沢なことでもある。ゼロの地点から始めるには、地に足をつけて安心して始められる環境がないとできない。わたしは、ゼロ地点に満たないマイナスから、ひとまずゼロにするための努力が必要だった。

「やりたいことをする」の手前に「生きるために安心な状態」をつくる段階がある。シングルマザーのわたしにとって、それは「お金と時間が足りない」という困りごとから自分をたすけることだった。

「やりたいことがない」と思っていたけど、そこには「困っていること」があった。困っている自分を困らない状態に救いあげることができたら、ゼロ地点に立てたら、ようやくそこで「やってみたいこと」が見えるのだと思う。

わたしも、「お金と時間の心配をしなくてもいい」ゼロ地点に立てたときに、会社を辞めるときは自分にはできないと思い込んで選べなかったことも、「選んでいい範囲」の中に入れることができた。お金にならなくても文章を書くことに時間を使えるのも、そのひとつだ。

会社を辞めて独立してクッキー屋さんを開業したことを「やりたくてやっているわけじゃない」などと言うのは、この段階では「生活に困らないための手段」として決めたことだったからだ。でも、そのために2年間考えて、困っている自分をたすけることができたのは、必要な大きなステップだったと今でも思う。

手の届かない夢を追いかけたり、夢中になれるやりたいことを見つけることができなくても、すこしずつでも「このほうがいい」と思える状態になることを、そこに向かうことを、諦めないほうがいい。どんなにマイナスの地点からでも「どうなったら自分がたすかるのか」を知って、自分を救い出せるのは自分しかいないのだ。そして、どんなに時間がかかっても、困っていないゼロ地点に立てたときに、自分が何を「したい」と思うのか、そのときを楽しみにしよう。

やることを決めるための「自分のサイズと持ち物のチェック」

30歳のときに「半分の時間で2倍稼ぐ」と決められたことは、今振り返っても自分にグッジョブと言いたい。ただ、そう決めたのは、野望でもなければ憧れでもなかった。むしろしかたなく、そうするしかなかったのだ。

友人たちと旅行に行ったとき、娘のあーちんも一緒に連れて行ったので、毎回食事代をふたり分払う。もちろん旅費も宿泊費もふたり分だ。それは当たり前のことなんだけど、ふと思った。あれ、共稼ぎの夫婦の友達に対してわたしの世帯収入は半分なのに、旅行にかかわらずあらゆるシーンで常に2倍払うんだよな。そしてそれはこれから先ずっとそうなんだよな、と。

そんな経験から、共稼ぎの夫婦と同じように暮らすには「半分の時間で2倍稼ぐ」必要があるとわかった。それが最低条件だなんて厳しいなーと思ったけど、しかたがないからその方法だけを考えた。

「シングルマザーだからお金と時間がなくてもしかたがない」とガマンしないで、「シングルマザーだけど人並みの生活ができる方法」を考えるためだけに頭を使った。

これを「ポジティブだね」と言う人もいるけど、ちょっとちがう気がする。ポジティブだったら「お金がなくても大丈夫だよ!」「忙しくても楽しいよ!」と考えられるんじゃないかと思う。わたしは「お金がないと怖い」というネガティブな考えから決断できた。

「半分の時間で2倍稼ぐ」と決めたはいいが、いったいどうすればできるのか。

それを実現するには、ばくちはできない。「失敗するかもしれないし成功するかもしれない」ではダメなのだ。これはチャレンジではないのだから、絶対に叶うことしかしない。と、はじめから心に決めていた。失敗、怖いし。

そこで、わたしが徹底的にしたことは「自分のサイズと持ち物を知る」ことだった。

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コメント

c___v 希望や見栄やサゲを含めず、フラットに自分を冷静に評価するのって難しいけどそれが大事なんだよな 7ヶ月前 replyretweetfavorite

rurika109 家でひとりでいる時間も増える今だからこそ、ノートに「自分のサイズと持ち物」を書き出して、できることから、やることを決めるのもいいかもしれない🐕🐕🐕 7ヶ月前 replyretweetfavorite