もはや「優秀で猛烈に仕事をする」タイプの人材は見つからない
1億円プレーヤーの多くは起業家や中小企業の経営者だが、特にその人材採用の面において、新世代と旧世代の意識の違いを感じることがある。
それは、旧世代が営業部門にエース級社員を配置するのに対し、新世代は人事採用部門にエースを配置するという点だ。
営業職は「売上を上げてくるプロフィットセンター」であるから、そこに優秀な人材を投入するのはごく当たり前の考え方だと言える。旧世代の発想はこちらだ。
しかし同じく、将来の会社を担うべき次の世代のスタッフが育たなければ、企業の成長はないという考え方もある。
だから人材を見つけて育てる部門、つまり人事畑にエース級を配置すれば、社を全体的に底上げしていける。そう考えるのが新世代の発想だ。
今の時代、採用・育成の手腕が経営を左右する。
経営層がどんな見事な事業戦略を描いても、それを実現できるスタッフがいなければ意味がない。
新商品を開発するのも人なら、それを売るのも人。ならばその「人」のレベルアップがなければ、企業のレベルアップはない。
一方、若者の労働観の多様化、草食化などもあり、かつてのような「優秀で猛烈に仕事をする」タイプの人材はなかなか見つからない。
人材の多様化がますます進む中、それを理解して採用と育成にお金と時間と労力をかけない企業からは、人材は流出していく。
特に昨今は、労働人口の減少により人手不足が深刻になりつつあり、採用は売り手市場にある。優秀な人材は大手有名企業に行くから、中小零細企業の人材採用はますます困難になっている。
旧世代1億円プレーヤーが経営する企業で次の人材が育ちにくいのは、採用と教育にあまり時間と労力をかけない(そこまでの余裕がない)からだと考えられる。
もちろん会社によって体制は異なるので一概には言えないが、特に中小企業の場合、縁故採用やトップの独断で採用するケースも少なくない。
私の知人である旧世代の経営者も、ちょっと元気の良さそうな若者を見るとすぐに「ウチに来るか?」などと気軽に採用している。
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