電話がかかってきても基本はスルー
携帯電話が普及し始めて30年あまりになり、もはやスマホを片時も手放せないという人は少なくないと思う。
それは旧世代も新世代も同じだが、電話の習慣において少し違う点がある。それは、新世代1億円プレーヤーは電話がかかってきてもあまり出ない、というところだ。
最近の若者の中には電話が苦手という人が増えているようだが、新世代1億円プレーヤーの場合、苦手だからという理由ではない。
自分の時間を他人に邪魔されたくないからだ。
1億円プレーヤーが1億円プレーヤーたる理由、それは、創造的なアイデアと、独自の価値を提供しているからだ。そしてそのためには、孤独の中で一人自分の思考を深めることが不可欠だ。
たとえば作家や漫画家がホテルに缶詰めになるとか、アーティストがスタジオにこもって楽曲制作やレコーディングをするというとイメージしやすいと思う。
また、「経営者は孤独」とはよく言われるが、これは一人で決断と責任を引き受ける存在だという意味だけでない。たとえばビジネスモデルの構築といった高度に抽象的な思考は、一人でなければできないからだ。
しかし電話を取れば、仕事や思考はいったん中断される。受けた電話の内容によっては気分がそがれたり、そちらが気になってしまうこともある。特にクリエイティブな活動に集中しているときなどは、そのマイナスの影響は小さくない。
だから電話がかかってきても、彼らは基本的にスルーする。出るのは、着信相手の表示を見て緊急とわかる場合に限る。あるいはヒマなときぐらいだ。
私の知人でオンライン学習システム会社を立ち上げた起業家がいるが、連絡の基本はLINEであり、電話には滅多に出ないという。
「自分の時間を電話でさえぎられるのがガマンできない」というのがその理由だ。そして、「大事な用件なら、必ず留守電にメッセージを入れるはず」と言う。
留守電の内容をテキストメッセージにしてくれるアプリを使えば、電話に出ずとも内容を確認できる。それなら思考を邪魔されることなく手軽にチェックでき、すぐ折り返すべきか、あとでかけ直せばいいかが判断できる。
また、電話の内容が交渉に関わるものであればなおさら「あとでかけ直す」のが基本だと彼は言う。
「電話だとよく考える時間も余裕もない。勢いで自分が不利な条件でOKしてしまうリスクがある。簡単な判断なら構わないが、冷静に考える余裕を持つためにもあとでかけ直したほうがいい」
のだそうだ。
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