第4回】LCCは市民権を得るか~レガシーキャリアの差別化策(1)

圧倒的な低運賃を武器に華々しくスタートしたLCC各社だが、レガシーキャリアとの戦いやLCC同士の競争など、市場環境は甘くない。海外での事例も参考に、今後を予測した。

JAL、ANAは高級路線へ

2010年のJAL破綻から2年。ただでさえ厳しい環境にある日本のエアライン業界に、LCCが参戦する。レガシーキャリア2社は、大競争時代をどう生き残ろうとしているのか。

 「黙って食われるくらいなら、事業に参画したほうがいい」──。

 日本でのLCC設立決定ラッシュだった2011年ごろ、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)のレガシーキャリア(既存の航空会社)2社の関係者は、LCCビジネスへの参入について、こう本音を漏らした。

 春秋航空(中国)が茨城~上海間を片道4000円で飛ばして話題に上ったりしたものの、東アジアは世界的に見てLCCの空白地域といえるほど、LCCの活躍が少ないエリアだった。ここにエアアジアやジェットスター航空といったメガLCCが目を付けないはずはない。

 レガシーキャリアにしてみれば、自分たちのおよそ半分の運賃で入ってこられては顧客を奪われるかもしれない。だが、どうせ参入してくるのなら、自分たちのコントロール下に置いてしまおう。そんな思いを背景に、ANAは中国の投資会社とピーチ・アビエーションを設立し、さらにエアアジアと合弁に踏み切った。そしてJALも、ジェットスターと合弁でLCCの日本法人を設立したのだ。

 ただし、レガシーキャリア両社のLCCへのスタンスは微妙に異なる。LCC2社と関係を持つANAの場合、ピーチへの出資は40%以下だが、エアアジア・ジャパンへは67%と、過半数を取得し、グループ傘下に納めた。

 「関西空港を拠点とするピーチとはあまりバッティングしないが、成田空港拠点のエアアジア・ジャパンとは食い合う可能性がある」。宮川純一郎・ANA企画室企画部長は、エアアジア・ジャパンをグループ傘下に置いた理由を、こう話す。つまり、顧客をエアアジアに取られてもいいように、連結対象の同一グループ内に置いておこうという戦略だ。

 また、「サービスよりも運賃の安さを重視する顧客層への対応が、今までは十分ではなかった」(宮川企画部長)。LCC2社の設立で、こうした顧客層を“取りに行く”ことを目指す。

 一方のJALは「ジェットスター・ジャパンはまったくの別会社。同一グループではない」(森岡清人・JAL路線統括本部路線計画部部長)と明確に切り分ける。出資も33%止まりだ。

 10年に経営破綻し、今年中の再上場を目指すJALは、グループ社員の3分の1を削減し、給与も大胆にカットするなど、大規模なリストラを断行した。

 経営資源を大きく絞らざるを得なかったJALがこれからの生き残り策として掲げたのが、付加価値を高めた、さらなるサービスレベルの向上。例えば、機内誌やビデオで地域の魅力をアピールし、名産品を機内食にも取り入れる「ジャパンプロジェクト」など、観光開発を取り入れたサービスはレガシーキャリアならではだ。

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