第4回】「奇臭湯」「廃屋湯」「析出湯」

日本には凄い温泉がいっぱいある!! 秋の行楽シーズン前にぜひ知っておいてほしい、日本の隠れた名湯を、TVチャンピオン全国温泉通選手権にて3連覇を達成した郡司勇さんが著したロングセラー『秘湯、珍湯、怪湯を行く!――温泉チャンピオン6000湯の軌跡』(角川oneテーマ21)より抜粋して紹介いたします。第4回は全国の珍湯、怪湯をご案内します。 ※本文中の成分総計は1リットルあたりの含有量、単位はミリグラム。また透明度はセンチで記述。各成分量も一リットルあたりの量。

神奈川県・星山温泉の中

爆発! オブジェ? 全国の変わり種

 変わり種の温泉をいくつか紹介しよう。

 秘境秋山郷の小赤沢温泉は一見普通の温泉のようだが、変わっているのだ。長野県と新潟県の県境に位置する小赤沢は苗場山の西の登山口でもあることから、登山者もよくこの温泉を利用している。濃厚な食塩泉の源泉であるが、炭酸分を多量に含有し湧出している。何が変わっているかというと、その湧出状況。源泉が時おり轟音とともに湧出し、浴室内部は水鉄砲のように温泉が噴出しまくるのだ。最近ゴムホースを設置したが、炭酸が出る度に湯の中を蛇のようにのたうちまわる。バケツをひっくり返したように、湯の中で暴発している。凄い状況である。一見の価値アリだ。

 秋田では男鹿温泉の「雄山閣」が忘れがたい。自噴の間欠源泉が浴槽に直接噴出し、浴槽に入浴していると噴気の噴出する音が「ヒュー」という音を立てている。時折湯を噴き出すのだが「ゴー」という湿った音に変わり、浴槽の向こう側の端まで飛んでゆく。ちょうどその方向に入浴している人がいたら、水鉄砲が直撃である。男鹿名物の「なまはげ」の口が湯口に演出されており、そこから噴出する。

 三重県でも最北端の木曽川の河口付近にある木曾岬温泉は、変わり種の浴槽がある。大きな体育館のような千人風呂で、底に砂利が敷き詰めてある砂利風呂なのだ。砂風呂は指宿や別府、千葉県の白子などにあるが、砂利風呂は少ない。私が知る限り、ここと福井県の佐野温泉くらいである。このあたりは近くに長島温泉もある温泉地帯で、湯量が豊富だ。大きな内湯は大量の掛け流しで、湯はどんどん流れ去っている。田園地帯にあり、木曽岬温泉から流れる排水路からは温かい湯気が立っていた。

 愛知県の永和温泉「みそぎの湯」は、珍湯というより「怪湯」である。入り口に白衣のマネキン人形が置いてあり、中には祭壇もあり、一風変わった宗教施設のようである。浴室内部はコンクリートの簡素な浴槽で、屋根が傾いているボロ施設であった。この鄙び方と白衣のマネキン人形の取り合わせは怪奇である。夜一人で入浴するには相当の勇気がいる。

 怪湯といえば、鹿児島県の薩摩半島中央部の川辺町にある川辺温泉も挙げねばならない。太い木の根っこや幹をふんだんに使った門構えがあり、隙間もなく銘木や根っこが積層されている。磨かれた根っこや珍木、奇木を柱のように積み重ねて空間を造っているのだ。温泉に行くまでが門の続きで、これでもかという容積の木材が積み重ねてある。「単位面積当たりもっとも木をたくさん使った温泉日本一」は間違いない。浴室棟はコンクリート造であるが、脱衣場までは銘木が積み重ねてある。また木の空洞には仏像を飾ってあったりして、摩訶不思議な感覚を覚える。温泉は薄目の単純硫黄泉で透明、少たまご味、無臭のもので弱いつるつるの感触だった。

廃屋湯の魅力

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秘湯、珍湯、怪湯を行く!

郡司勇

日本には凄い温泉がいっぱいある!! 秋の行楽シーズン前にぜひ知っておいてほしい隠れた名湯を、TVチャンピオン全国温泉通選手権にて3連覇を達成した郡司勇さんが著したロングセラー『秘湯、珍湯、怪湯を行く!――温泉チャンピオン6000湯の軌...もっと読む

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