男のファンタジーは、可能な限り叶えてあげたいけれど

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴るこの連載。今回は「色気とは対極にあるモノ」についてのお話です。男性ウケが良くない「5本指ソックス」を通して、性のファンタジーへの向き合い方を考えます。

5本指ソックスをはいていたからフラれた。

いきなりですが、そんな女性いらっしゃいますか? というのも私が5本指ソックスの愛用者だからで、「あ、これは幻滅された」な危うい空気感を味わった経験があるからだ。しかも数回。

彼女の前で靴は脱げない

5本指ソックス。それは色気とは対極にある代物。男性だけでなく女性からも侮蔑されたことがある。正確に言えば、以前、派遣社員と文筆業をかけもちしていた頃、同僚とアンダーウエアの話題になり、

「5本指ソックスをはく人って信じられないですよねー」

と同僚が鼻で笑ったのだ。

「うん、わかるー」

なんて、私もしたり顔で合槌をうったのだけれど、社内履きの中で私はしっかり5本指ソックスをはいていた。彼女の前で靴は脱げない、と心に留めた出来事である。

ソックスのみならず、色気アイテムといえば言わずもがなブラジャー&ショーツ、とりわけもっともリアルなのがショーツだが、これも私はふんどしパンツ(片側を紐で結ぶタイプ)愛用者で、形によっては色気のかけらもない。一時は越中ふんどし型ショーツ(かなり忠実にふんどしを体現したショーツ)を身につけていた。マニアにはたまらないと思うが、そうじゃない人にとってはモチベーションが下がるかもしれない。

5本指ソックスとふんどしパンツの名誉のために付け加えると、ともに冷え性やデリケートな肌質の女性にはもってこいのアイテムだ。私の名誉のために(笑…)さらに付け加えると、材質はオーガニックの麻かシルクかコットンのみ選んでいる。

そういう日に限ってなぜかそういうことになる

なんて偉そうに豪語しても、形としては色気ナッシングだ。それは私も認めるところで、一時期、越中ふんどし型ショーツ一枚で部屋をうろうろしていた私を、旦那さんはどう思っていたのだろうと、今さらながら心中を察している。

私が5本指ソックス&ふんどしパンツを入手し始めたのは約10年前なので、当初は本当にわずかな種類しかなかった。しかも高価で、1枚1万円~3万円のシルクふんどしパンツを買っていた。というとなんだか女子力が高いっぽいけれど、くどいようだが形はあくまでふんどしだ。昨今のふんどしパンツはラブリーだったりファッショナブルだったり、かなり増えているから安心である(何が)。

なぜ私が両アイテムにはまったかというと、先にも述べたが5本指ソックスは冷え症改善のためで、ふんどしパンツは下着のしめつけによる黒ずみが気になりだしたからだ。でも私だって一応女、男の人とそういうことになりそうだな、という日にはそれなりの下着を装着していた。が、そういうことになりそうな日は案外予測できない。

女性の皆さんなら一度は身に覚えがあるかもしれないが、「あ、今日は下着が上下バラバラ!」とか「あ、今日はうっかり捨ててもいいパンツ!」な日があるだろう。そういう日に限ってなぜか、そういうことになりそうな流れになったりして。ふんどしパンツはまだいいかもしれない(紐をほどく楽しみがあるからね)。でも5本指ソックスって、5本指ソックスって…。

盛り上がり最高潮のときに彼が発した一言

はい、そういう流れになって5本指ソックスを見られたのだ。場所はラブホテル、初めて一緒に入ったという、盛り上がり最高潮の時。相手その1が5本指ソックスを横目に発した一言は、

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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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