それから数日後、三人目の見学希望者がくるとの連絡が、海斗先生から来た。
もう新入部員は来ないんじゃないか、と思っていたわたしたちは、その朗報に大喜びし、いつもより気合を入れて練習をしていた。
だけどその日、入部希望者は来なかった。
急用でも出来たのかな?……まあいいか。たぶん明日には来るよね?
楽観的に捉えたわたしは、翌日も、その翌々日も、同じようにスタンバイしながら、新入生が来るのを待っていた。
そして気がつけば一週間が過ぎていた。
さすがにこれは……と、思ったわたしは、ユキ、蓮、鈴と一緒に職員室へと向かった。
海斗先生の席は窓際の端っこだった。
机の上には教科書、会議の資料、タウンページ、郵便物、その他、様々なものが山積みになっている。そんな中、海斗先生は埋もれるようにうずくまり、何やら書きものをしていた。
「海斗先生」
「あ、未来部長」
「新入生、あれからずっと待ってたんですけど、やっぱり来なくて……」
「うーん。おかしいなあ。僕のとこに来たときは、合唱部についていろいろ聞いていったんだよね。活動日とか、過去にどんな曲歌ってたとか。部員は何人いるんだとか……。男子だし、貴重な人材なんだけどなあ」
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