いまの時期の旅行や観劇、諦めるべきか否か

新型コロナウイルスの流行は旅行業界にも大打撃を与えました。終息が見えないだけに、代金を払い込んだツアーに行くべきか、春の旅行、GWの旅行をどうしようか、迷うところです。旅行が趣味で、ほぼ毎月のように旅行に出かけている経済評論家の佐藤治彦さんは、どのように対処しているでしょうか。


風情たっぷり、霧のベネチア

新型コロナウイルスによる大打撃

旅行好きの私にとってはとんでもないことが起きました。

そうです。
中国の経済、物流、交通のど真ん中、要塞都市、武漢から世界中に広がった新型コロナウィルスの流行です。
多くの人が亡くなりました。
ほぼ100年前に世界中でスペイン風邪が流行りました。当時は今と比べると人の行き来も経済も限定的だったにも関わらず、世界中で5000万〜1億人もの犠牲者が出たといわれます。
島国の日本でさえ、40万人近くの犠牲者が出たそうです。
当時の人口は今の日本の半分以下ですから、大変な数です。もちろん、今とは医療のレベルも格段に違いますから一概に比較はできませんが、それにしても多いです。
今回のウィルスも中国国内問題だと考えられたのは最初の2週間ほどだけで、すぐに日本の問題となりました。

この新型コロナウィルスの影響で旅行をするような気分じゃないなという人も多いと思います。
政府も不要不急の外出や、多くの人が長時間集まるところ、特に閉鎖空間は避けるように推奨しています。
私も正直怖いです。
2月の初めには多くの大手旅行代理店が、催行予定していた中国、香港、マカオなどへの旅行のほとんどを3月までキャンセルしました。
中国からの団体旅行者も禁止され、観光業を中心に日本経済にも大きな打撃を与えています。日本だけでなく、世界中の観光業に深刻なダメージを与えているようです。

私自身も3月の中旬に予定していた中国への団体旅行がキャンセルされました。
実は数年前の地震で観光施設が閉鎖されてきた中国観光の目玉の一つ、九さい溝や黄龍がやっと再オープンしたというので、早速団体旅行に申し込んでいるのですが、果たして行けるかどうかが心配です。これは5月の終わりです。

今回の事態は日本の観光関連産業にとっては、東京オリンピックを目前にして、さあ海外からの観光客を6000万人まで増やしていこうといろいろと準備していたところの不意打ちです。

3月の羽田発着大幅増便と春の観光シーズンを目前にして……

その一つとして3月の終わりに羽田を利用する国際線が大幅増強されるのは皆さんご存知の通りだと思います。
1日50往復、到着、出発で100便が増えることになっています。
このため、今までは羽田空港からの国際線は全て国際線ターミナルからとなっていましたが、これが変わります。各ターミナルの名称も新しくなります。
今までの国際線ターミナルは第3ターミナルという名称に変わり、モノレールなどの鉄道の駅の名称も同時に変更です。

羽田空港はそれまでの国内線は第1ターミナルと第2ターミナルとなり、3つのターミナルの空港になります。
このうち第1ターミナルは国内線のみ、第3ターミナル(旧国際線ターミナル)は国際線のみですが、第2ターミナルは国内線だけでなく、国際線も乗り入れることになります。
例えば、全日空・ANAなどの国際線は第2ターミナルから出発するものと第3ターミナルから出発するものと混在することになりますので、空港に行く前に自分のフライトは第2なのか、第3なのか調べておく必要があります。

こうして大幅増便となるこの春に、前述した新型コロナウイルスの影響です。
日本と中国を結ぶものだけでなく、韓国、タイなどのアジア路線を中心に減便が相次いています。
大変なことになったなあと思われているでしょうが、先述したように影響は日本の観光業だけではありません。
中国はもちろん世界中の航空会社が深刻な影響を受けています。
例えば、イタリアは春の訪れを告げるベネチアのカーニバルは世界中から観光客が押し寄せる大きな観光イベントです。ところが、実はイタリアもコロナウィルスの感染が大きく問題になっており、実施日を2日も短縮することになってしまいました。
各地の観光地でも名所の閉鎖、コンサートやスポーツイベントの中止が相次いでいます。観光立国イタリアの経済にとって大打撃です。

イタリア、ミラノのスカラ座にて

この時期だから、驚くほど安いフライトも登場

観光産業に関するものは、フライトもホテルも取っておけません。
今日のフライトは明日売ることはできないのです。生鮮食料品以上に保存の聞かない売り切り商品なのです。
ですから、JALやANAなど日本の航空会社だけでなく、多くの会社が中国線の運休や減便をすぐさま決定したわけです。
しかし、減便や運休をしたからといって航空会社の業績に影響がないわけではありません。
せっかく保有する高価な航空機を効率よく有効に活用ができないことになるからです。
また、多くの従業員に支払う賃金もオフィスも固定費として出て行くのです。

この影響はいつまで続くのかも予想もつきません。2月の下旬あたりから、急きょ航空運賃を大幅値下げする航空会社も増えています。
来年の春までのフライトを少し安くても今のうちに売っておこうという動きが出ています。
コロナウィルスの影響で今すぐ次の旅行の予約は無理だなあと思われている方も、今なら驚くような低価格でフライトの予約ができるものがあるのも事実です。
旅行の予約をするかどうかは別として、ちょっと覗いてみるとびっくりするかもしれません。
そこには航空会社や旅行業界の本音の価格が出ていると思うのです。

旅行だけでなくコンサート、観劇も行こうかどうか悩む毎日

かつて、私はアジアの国の旅行を直前にキャンセルしたことがあります。
旅行の3週間ほど前にテロ事件が起きてしまいました。
現地事情がわからないし、不安の中で旅行するのは嫌だなと思い、キャンセル料はかかるのですが、旅を諦めたのです。
旅は楽しむために行くのですから、不安な気持ちで旅するのは避けたいものです。
今回は、すでに申し込み、お金も払っているものの一つ一つに悩んでいます。

よくコンサートに行く池袋の東京芸術劇場

旅行ではありませんが、先日出かけた芝居は、チケットの払いもどしはできないわけですから、劇場まで行って気分が悪かったらすぐに引き返してこようと思いました。
空いている時間の電車を利用し劇場にたどり着くと、コロナウィルスを心配したのか多くの人が来ていませんでした。
劇場の座席はすごく空いていて、濃厚接触しないで観劇できるとわかったので観劇をすることにしました。
3月の初めに旅行する屋久島は激安の団体旅行なのですが、こういった低価格の旅行は通常は観光バスの定員ギリギリまでの募集と応募でうまる事が多く、今回もすぐに売り切れました。
旅する1週間ほど前に旅行会社に電話して参加人数を聞いてみると、今回は何人かキャンセルした人もいるのでしょう。少し余裕があるようです。
そうは言っても団体旅行は、多くの人とバスや食事などのときに距離が近いので、少し心配で、ギリギリまで参加するかどうか考える予定です。
さらに、羽田空港の集合時間も戻ってくる時間も日中なので、満員電車の時間でない比較的空いている時間に移動できるのはプラスです。

普段、激混みの観光地も今なら観光客が少ない

団体旅行は自分でコントロールできないのですが、電車などの公共交通機関が空いている時間を見計らって出かけるひとり旅はどうだろう?と思っています。
前から行きたいと思ってる大修理が終わったばかりの東照宮の陽明門と日光。
去年の暮れに、子どもの頃から行ってみたかった日本の三大夜祭を堪能した秩父と三峯神社。
いつもは、外国人や観光客で賑わっている人気の観光地も中国からの団体旅行客はほとんどいないので空いているはずです。十分注意していけばむしろ静かに楽しめるのではないかと思っています。

子どものころから行ってみたいと思っていた秩父の夜祭に昨年末やっと行けた

このように、お金も払って、行こうかどうかと悩んでいる団体旅行があれば、コロナウィルスの情勢を見守るとともに、まずは参加人数を調べることをおすすめします。
例えば、45人のバスの座席があり、40人の参加があるとなれば、ほぼ満席で多くの人との距離は近いです。
また、調べれば、バスに乗っている時間もわかります。
バスに乗ってる時間が比較的短く、参加人数がバスの座席数の半分以下であれば、比較的ほかの人との距離に余裕を持って旅行を進めることができることがわかります。
それに加えて集合場所へ行く時間の公共交通機関に選択肢があれば、便利かどうかということ以上に、混み具合などを十分考慮して安全性、安心感の高いものを選択することができるでしょう。

もう一度申し上げますが、旅行は楽しまなければ仕方ありませんから、キャンセル料がかかっても、これは危ない、不安だらけだと思ったら、こういうこともあるもんだと諦めるのも必要ですね。

それでも、今は日本国内の旅行業界はインバウンドの観光客がへり、ホテルや鉄道、観光に関わる人たちだけでなく、多くの経済的なダメージを被っています。
新型コロナウィルス問題がいつ終息して、安心して旅行ができるようになるかわかりませんが、きっとその折りには今まで以上に人々が多く旅行し、観光地はごった返すと思うのです。
私はごった返す観光地は苦手です。
ですから、私は新型コロナウィルスの感染に関する情報をきちんと集め、十分安全性を確保した上で、観光客のいなくなったいつもは人気の観光地への短めの個人旅行を楽しむ計画を立てたり、3か月や半年以上先の団体旅行の仮予約を入れています。

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佐藤治彦

経済評論家にして旅行マニアの佐藤治彦氏が、73の国と地域を自腹で旅してわかった、旅を堪能するコツと技術! 主要な観光地を効率的に廻ってくれて、チケットやホテルの手配いらず、スーツケースも運んでくれて、何かと便利なパックツアー。一方、自...もっと読む

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Herr_satoru #スマートニュース 8ヶ月前 replyretweetfavorite