新しいピルエット

歌手、女優、そして作家として独自のキャリアを重ねているCoccoさん。最新エッセイ集『東京ドリーム』(ミシマ社)発売に先駆けて、収録作品を先行公開。連載4回目は、月に一度巡ってくる女性の「お仕事」について。cakesではCoccoさんの独占インタビューも同時公開しています。あわせてお楽しみください。

 毎月それが近づいてくると、逃れることのできない腹痛と腰痛と頭痛と激しい倦怠感。

 一年で数えればたったの十二回。そう考えると何とか乗り越えられる気がするけれど、やはり毎回毎回それに直面するのは女性の大変な大仕事。十代ではもっての他、二十代でもまだこんな話を晒すなんてことは無理だっただろう。しかし、それを語れるぐらいになった。

 先日、花柄のスカートを汚した。それも中学生の失敗並みに華々しくスカートを汚した。
 毎月のお仕事とはもう何年ものつき合いになる。何となく折り合いはつけてきたはずだし、大体の流れは把握できていると思いこんでいた。キャーッとトイレに駆けこんでも思いの他大惨事には至っていないという感覚や、まあ大丈夫だろうという時間軸なんかは、さすがにこの年にもなれば掴めていたはずなのに、それなのに、の、大失態。

 開き直ってしまえば、女は大変なんだとか、男も理解すべきとか、当り前のことなんだから、とあれこれ言えるのだけれど、でも、やっぱり人間だから恥と神秘は大事にしたい。

 自然の摂理なんだからといって何でもあけっぴろげになっていくのは、どこか受け入れ難いのだ。

 立会出産反対派、痛がる顔なんか見せずに女は一人で成し遂げよ、という風潮の家系に育ったせいか、私は必要以上に女の領域に立ち入られることを嫌悪する。今時の出産の話や生理用品のコマーシャルの内容にも全くついていけない。メルヘンだけでは困るけれど、女の神秘はまな板の上に開げて隅々まで解説されるものでなくてもいいのではないかと思う。

 全てを見せることが、語ることが、わからせることが、正しいということではない。見えないところに想像が生まれ、語られないところに営みが垣間見え、わからないところに努力が生まれて、女は女の神秘を守り、男は男の神秘を貫いて、そうやって仲良くしていけないものだろうかな、と思う。

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東京ドリーム

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歌手、女優、そして作家として独自のキャリアを重ねているCoccoさん。最新エッセイ集『東京ドリーム』(ミシマ社)発売に先駆けて、収録作品を先行公開。歌を歌うこと、子供を育てること、人を愛すること、日々生活を営むこと、東京という街で働く...もっと読む

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