うつとつきあう時間をプラスに変えるコツ

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』をcakesで特別連載!(毎週火曜更新)

うつとつきあう時間をプラスに変えるコツ

 うつと診断されてから回復までは、少なくとも数年単位の時間がかかりますが、それを病気だとか、苦しい時期ととらえたら嫌になりますよね。
 回復を目指して自分と向き合いながら、「ラッキー、ラッキー」と思えるようになったら、これはすごくいいことだと思いませんか? 誰でもそうなることは可能です。
 うつをプラスに思えるようになるコツは、記録をとることです。
 うつになった人は、全員が本の著者になれるぐらいの気持ちで、日記をつけておくことをおすすめします。それは自分のためにもなるし、誰かのためにもなるし、もしかしたら印税がもらえるかもしれませんね。
 これは心理療法で、ナラティブセラピーといわれている、自分の物語を創るセラピーの手法とも一致しています。
 ですから、記録しておくべきだというのは私の持論ではありますが、あながちデタラメではないわけです。
 この章ではうつから回復するまでの過程を話してきましたが、私は、生活リズムを整える段階や、1日勤務できる体力をつけている段階で、「あなたはほぼ卒業なんですが」と言いながら、振り返り期というのを作っています。
 これまでの振り返りをすることによって、今までの苦しかった時期を全部、プラスに変えることができるからです。自分がたどってきた道をもう一回復習するような感じになるので、一つひとつの記憶の定着もよくなります。だから、再発、再燃の率がすごく下がるのです。
 これは私と一緒にやるので、戦友のような感じになります。私との信頼関係が再度、盛り上がるときです。

回復期から成長期、そして他者支援へ

 みなさんを追跡して見ていると、成長期というのがあることに気づきました。その人が自分なりに工夫をする時期が来るのです。
 たとえば、自分は絶対残業しないと決めて早く帰ったり、帰るときも車を使わず、なるべく徒歩で帰ったりして、体力をつけることを心がけていたりします。
 その時期を経て、多くの人に他者支援期が来るような気がします。「誰かのために何かができないか」と考えるようになるのです。
 自衛隊のある男性は、うつから不潔恐怖になってしまいました。強迫性障害になって、極端に手洗いや洗濯をするようになってしまったのです。
 その彼は、これらの段階を踏んでうつを乗り越えた結果、「人のためにできることはないだろうか」と言い始めて、あるときから動物の保護の活動を始めました。
 ほかにも、自衛隊を辞めるという決断をして人材育成の活動を始めた人など、いろいろな人がいます。私のように何か書いたりしている人もいます。
 自衛隊に残って活躍している人もけっこういます。「うつで行き詰まって逃げました、そして死なずに確保されました」というと、普通に考えたらすごい汚点で、絶対に自衛隊を辞めていくと思いますよね。でも、私がかかわっている人の中で、それを乗り越えた人が何人もいるのです。
 ある人の場合は、離婚で子どもと引き離されてうつになりました。そして、「飛び出して死のうとしたけれど、捕まってしまった」というケースです。でも、彼はそれを乗り越えて、管理職の試験に合格したのです。

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イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ

玉川真里

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』をcak...もっと読む

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