HSPです。無神経な母親のせいでつまらない人間に育ちました

今回、牧村さんのもとには、無神経な母親に育てられた結果「いつも人の顔色ばかり伺う、つまらない人間になりました」と嘆く方からのお悩みが届きました。「私はどうしたら少しでも肩の力を抜いて生きられるのでしょうか?」と悩む相談者さんに、牧村さんはニュージーランドで出会った「グランマ」の言葉を紹介しながら、幸せに生きる道を考えていきます。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

読者の皆さんからのご投稿をもとに、「これこそが目指すべき幸せだ! って世間で言われているものに自分の人生を合わせようとするだけで終わりたくなくない? じゃ、自分の道を考えようよ」ってことをやっていくこちらの連載「ハッピーエンドに殺されない」。

以前、「自分は心が繊細すぎて傷つきやすい」と思っている人が、その特性を「これは自分だけじゃないんだ、これは自分の良さでもあるんだ」って思い直すために使える「HSP」という言葉について取り上げました。また、この言葉が決して医学概念ではなく、アメリカのある学者さんが考案してビジネス展開しているものであること、よってHSPという言葉にとらわれて「HSPだから一生生きづらいんだ」と落ち込んでしまう必要は全くないこともお話ししました。

言葉は、村です。
さまよって、さまよって、やっと自分に似た人間がいる村にたどり着けたときは、やっと、生きていける気になれますよね。「HSP」とか「LGBT」とか。でも、知らず知らずのうちに、村の外を恐れ、村の外を呪い、村に深く根づきながらも「自分はここで一生を終えるしかないのだ」と悲しく空を見上げる、そんな状態に陥っていることがあります。

そこから自由になるにはどうすればいいのか。今回は、「HSPです。無神経な母親のもとでつまらない人間に育ちました」とおっしゃる方からのご投稿をもとに、一緒に考えていきましょう。

こんにちは。
自分は何故こんなにも生きづらいのだろう?と思いあれこれ調べていたらHSPという言葉に行き着き、牧村さんのブログに辿り着きました。 関連する書籍、ホームページを調べた結果、多分自分は典型的なHSPなんだろうな・・・と気づき少しだけ安堵した反面、自分のこの気質は間違いなく後天的なものであり、とても悲しくもあり悔しくもあり、でもどうしようもなくてとても辛いです。

自分の場合ですと、母親と幼少の頃から大変折り合いが悪く、あまりにも無神経かつ幼少のころの私のプライドをズタズタにする言動、行動、態度によって最終的にいつも人の顔色ばかり伺う、つまらない人間になりました。

たしかにHSPだからこその感じとれるものはあります。でもそのメリットを容易に覆すほど、私は社会生活の中で息苦しく、いつも溺れそうです。娘も一人いますが、なんとか娘には自分と同じようになって欲しくないと褒めよう、褒めよう、関わろうとするのですが、何分自分が母親とろくに遊んだこともなく、褒められたことも少なく、いつも怒られていた記憶しかないので娘との関わり方すら分からなくなり、たまらなく辛く、一人になりたい・・・と思うことが非常に多いです。

何故こんなに、もう三十路近い良い大人が、他の人から見たら些事に過ぎないことでずっと苦しまないといけないのでしょうか?私はどうしたら少しでも肩の力を抜いて生きられるのでしょうか?何もわからないです。 変な話ですが、何か良い方法があれば教えて欲しいです。よろしくお願いします。

(全文そのまま掲載しました)


「最終的に(中略)つまらない人間になりました」とおっしゃいますが……

終わらせないでいきましょう。終わらせなければ、終わらないから。

あなたのつらさの原因として、あなたは、「母親」と「HSP」をお挙げになりました。どうして自分がつらいのか、本やネットで積極的に調べて考えたあなたの姿勢は、あなたが実際ぜんぜん「最終的に(中略)つまらない人間に」なってなんかいない証拠だと思います。よくやりましたね。全然、最終ステージじゃないから。年齢全く関係なくね、人間、自分で自分を「こういう人間だ」と思い込むか、成長と変化を信じて行動するかの違いよ。終わらせなければ、終わらないのよ。

あなたはそこで終わりたいんじゃなく、きっと、そこで休みたいんだと思う。

最初に話した、言葉の村ですよね。歩いて歩いて歩いてあなたは、「母親がキレてばかりいた村」と「HSP村」を発見した。その地帯からお外を見れば、あらゆるつらさに説明がつけられるでしょ。「あ、母親に怒られてばかりいた私は今も怯えているからつらいんだな」「HSPだから敏感すぎちゃってつらいんだな」って言える。

それであなたは、ご投稿文の言葉をお借りすれば「少しだけ安堵した」のでしょう。休めたんですよね。よかった。でもね、村の中に閉じこもってると見えなくなっていくものもあるんですよ。例えば、わたしの文章にたどり着いてくださったのは嬉しいことだけど、わたし、「典型的なHSPはこういうもんですよ」みたいなこと、いっこも書いてないもん。ってかそもそもこの連載のタイトル、「ハッピーエンドに殺されない」だもん。「こういうものだ」という声に人生を終わらされたくない、物語の続きを自分の手で書いていこう、って話だもん。

終わらせなければ、終わってない。

だからあなたは自分で歩いて、村にたどり着いた。でも、そこで少し休んだ後は、そこで一生過ごさなきゃいけないのかって、終わった気持ちになっちゃってるんですよね。 出られますよ、そこ。出たいと思うならね。

一人の時間を大切にしていい。社会生活の中で息苦しい思いをしたなら一人の時間で休むことも必要だし、溺れているうちに少しずつうまく泳げるようになってる自分を見つけられる。娘さんを一生懸命褒めようとすることも、わたし、やめていいと思いますよ。それ、わたしから見ると正直、「褒めよう」じゃなくて「自分みたいになってしまわないように導こう」に見えるの。もしくは、「自分が自分の母親みたいになりたくないからこうしよう」に見えるの。cakesで言うと、田房永子さんの「お母さんみたいになりたくない」案件じゃん。

わたしだったら、娘さんに何か良い影響を及ぼす自分でいよう!って方向で頑張るよりは、娘さん自身に興味関心を向けることから始めるかな。あーこの子こんなことしてるな、なんでこんなことしたんだろ、そっかこういうふうに考えたのか、あっこれこないだよりも上手くできるようになってるな。そういうのを見つけて、自分が本当にいいと思ったときに、初めて褒める。

自分が娘さんに対して怒ることについても怖がらなくて良くて、ただ、必ず理由を伝える。娘さんにも理由を聞く。「こないだ注意したことをまたやったからわたしは怒ってるんだよ。なんでまたやったの?」みたいな。そういうふうにすると思います。ま、そういうわたしのやり方はよく「理屈っぽい」って言われるんですけどね。すまんね。わたしも成長中だから。

嬉しい話があってね。今、ベッドの上でこれを書いてるんですよ。昨日まで知らんかった人の家のベッドの上で。ってのも別にセクシーな話ではなく、とある老夫婦のお家なんですけど。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

makimuuuuuu 「自分はHSPだ、母親のせいでつまらない人間になった」というおたよりをいただいた時に書いた記事も貼っときます https://t.co/SHUZmMgqdM https://t.co/QJ24B2elaF 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

g5m2y5s2 時々読み返す私の好きなお話し。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

taki_tsubo ニュージーランドのグランマ素敵すぎる。運命の人に出会って良かった。 8ヶ月前 replyretweetfavorite

eri_forest |牧村朝子 @makimuuuuuu |ハッピーエンドに殺されない ジャンプイン!! https://t.co/XLuuzkl2at 8ヶ月前 replyretweetfavorite