フェル先生のさわやか人生相談

母のお願いに、どうしても「いいよ」と言えません【372回】

2月にもかかわらず、暖かい日が続きますね。本日フェル先生がお答えするのは、田舎に住む母親から「週一の息抜きにアパートを使わせて欲しい」とお願いされたものの、どうしても承諾できなかった、という女性からのお悩みです。聞けば、彼女の実家には様々な問題があるようで……。

※「フェル先生のさわやか人生相談」では、フェル先生に相談したい質問を募集しています。辛辣な回答も受け入れられる勇気のある方、フェル先生に叱咤激励されたい方は、専用フォーム(匿名可)からご応募ください。

ただの子どものわがままに過ぎないのでしょうか。

私は地方の田舎町で生まれ育った者です。現在は実家から少し離れた地方都市で一人暮らしをしています。実家には月に一度程帰っています。

先日、田舎に住む母親から「週一の息抜きにアパートを使わせて欲しい」というお願いをされましたが、鍵を渡すことができませんでした。

母は一人っ子で、現在は実の祖父母と父との4人で暮らしております。母曰く、「兄弟姉妹のいないわたしには逃げ場がない」とのこと。

家族の気持ちに耳を傾けない見栄張りの祖父のもとに生まれ育った母は、幼い頃から周囲の人々から向けられる妬み僻みと戦ってきた方でした。また、長男だった父を婿に取ったことからも、家のことも手を抜けない、父に恥を欠かせてはならないと、様々な努力をしてきた方でした。

平穏な暮らしがしたい、普通の家庭を築きたい、家のことを守らねば、家庭を守らねば……、母は還暦を過ぎてもなお、守るべきものが多すぎるとこぼしながら、広すぎる家と畑等の管理をし、家族を愛し、実家をずっと守り続けてくれています。

そんな母は同時に、過干渉で支配欲の強い人でもありました。「子どものために」という気持ちから、やめてほしいとお願いをしても、とにかく何にでも口や手を出すのです。また、子どものためと謳いながらも、私たち子どもを自分の手元に置いておこう、自分の思い通りにしようとする様が言動から見て取れる、そんな人でした。

母の言動に悪気がないことも、根底にある一番の思いが「子どもたちのため」「家のため」という純粋なものであることも、母元来のせっかちな性格と気持ちの余裕のなさから、「母の思う最善を行使し続けてきただけだ」ということも、分かっているのです。私たち家族にたくさんの愛情を注いで来てくれたことも分かります。しかし、重すぎる愛情と過干渉、話が通じない、という状況は、私たち兄妹だけでなく、父もまた母を遠ざけていきました。(父は、話のわかる人ではありますが、人を見下した言動をとることが多々あります。母に対しても同様です。)

そんな中、兄が数年前に金銭トラブルで地元の職場を退職しました。(兄のプライベートでの金銭トラブルは10年以上にわたり、その全てを祖父母と父母で尻拭いしている状態でした。)そのことが原因の一つで、母は当時勤めていたパートを辞めざるを得ませんでした。父方の実家での揉め事も相まり、地元で母に向けられる視線は相当なものだと言います。

母がパートを辞めて程なくして、祖母が病気を患い、認知症となりました。祖母を施設に入れるということができず(施設という単語を出しただけでものすごい剣幕で怒り狂うようです)、自宅で介護をしています。家のことだけでなく、祖父が広くしすぎた屋敷や畑等の管理まで行うとなると、とてもひとりでは見切れないとのことから、嫌がる祖父の反対を押し切り、現在は週に数回ヘルパーさんにきてもらっている状態です。

何ひとつ息抜きができない、肩身の狭い思いをしている、わたしには何一ついいことがない……、そうこぼす母親からの、「週に一度、ヘルパーさんがきている昼間、私がいない時間にアパートで休ませて欲しい」、その願いに、どうしても、いいよ、と言うことが、できませんでした。

週に一度であっても、昼間のわずかな時間であっても、「自分のテリトリーを犯されてしまう」という気持ちが、どうしても拭えなかったのです。たかが週に一度じゃないか、休むだけじゃないか、これまでたくさん世話になったじゃないか、そう自分に言い聞かせようと思っても、イエスと口に出すことができませんでした。

実家からずっと離れて暮らす妹からは「おねえの反応は当然のものだよ」と言われましたが、それでもなお、どうにか母のためになりたい、その想いで実家に帰り、母と面と向かって話をしました。しかし、どれだけ話をしても、疲れ果てた母を目の当たりにしてもなお、「いいよ」とは言えない自分がおります。

フェル先生、私のこの気持ちは、ただの子どものわがままに過ぎないのでしょうか。私が実家のために、母のためにできることは、なんなのでしょうか。

(30歳、女性、会社員、藤子)

A.今回は様々な重圧からのエスケープを目的として、実家のお母様から「週一の息抜きにアパートを使わせて欲しい」と切なるお願いされて困惑する地方都市在住33歳OLさんからのご相談です。ご相談文を読み進める内に、徐々に気持ちが沈んでくる、辛く重いご相談です。地方の名家と思わしきご家庭の、複雑な背景の全てを背負わされて孤軍奮闘するお母様の心労たるや如何ばかりか。

ご相談者の藤子さんは、結婚しているわけでも無さそうだし、留守中の部屋くらい使わせてあげたら良いのに……とも思うのですが、一方で、たとえ親でもご自身のテリトリーを侵害されるのは絶対にイヤ、というお気持ちも良く分かります。

加えて今までのお母様との関係性、つまり「過干渉」「強い支配欲」「何にでも口や手を出す」なる要素を鑑みるに、気軽にさあどうぞとは言い難い背景も理解できる。留守中に家探しとかされたらイヤですものね。

たくさんの登場人物がいらっしゃるので、まずはその辺りを整理しておきましょう。

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フェルディナント・ヤマグチ

恋愛投資家フェルディナント・ヤマグチが、あなたの恋と仕事の悩みにお答えするQ&A連載。第1回から飛ばしています。回答を読んで、彼氏と別れたくなった方、人生の岐路で悩んでいる方、フェルディナント先生にしかられたい方、質問どしどしお待ちし...もっと読む

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コメント

Lave_chamo 私なら絶対嫌だな、 エスカレートしそうだから。 会って話を聞いてあげるだけで済まなさそう。 8ヶ月前 replyretweetfavorite

zen_eno |フェルディナント・ヤマグチ @gogoferdinand |フェル先生のさわやか人生相談 8ヶ月前 replyretweetfavorite

asyara28 いつもながら、素晴らしい回答ですね。 8ヶ月前 replyretweetfavorite

sabochin これ、この回答は普通にしんどいんじゃないかな………………相談者… https://t.co/LPvKOcIwLt 8ヶ月前 replyretweetfavorite