May J.はアカデミー賞に出なかった

続編も大ヒットを記録した『アナと雪の女王2』。今回も松たか子が歌う主題歌が話題でしたが、思い出されるのはMay J.のこと。前作の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」をテレビなどで繰り返し披露し、ある誤解から叩かれてしまった彼女について、今だからこそ武田砂鉄さんが考察します。

「足立区のおいしいものは?」「給食!」

3年前に、やっぱり一度は観ておかなきゃと思い、「ギャラクシティ西新井文化ホール」で行われたMayJ.のライブに出向いたのだが、その歌唱力よりも忘れられない、お客さんとのやりとりがある。「足立区に来るのって初めてかも」と明かしたMayJ.が「足立区のおいしいものは?」と客席に投げかけると、お客さんの一人が大声で「給食!」と答えた。会場は大爆笑。足立区のウェブサイトを確認すると、確かに給食にはこだわりがあり、「足立区の給食は、できたてを提供するために各校調理方式をとり、天然だし・薄味を基本とし、すべて食材から調理しています」とある。自分も、足立区にはあまり出向かないが、MayJ.のおかげで、足立区は給食にこわだっていることを知ったのだ。

「理解されていないのがすごく残念」

先日行われたアカデミー賞授賞式に松たか子が出席し、歌曲賞にノミネートされていた『アナと雪の女王2』のメイン楽曲「イントゥ・ジ・アンノウン」を各国のエルサ役と共に歌い上げたことが大きな話題になった。あの映像を見て、「なんでMayJ.じゃないんだろう?」と思った人はおそらく相当少ないはず。その少ない一人が私である。松たか子は前作で、かの有名な劇中歌「Let It Go~ありのままで~」を歌い上げたが、その後、テレビ番組などでは披露しておらず、映画の終わりに流れるエンドソングを歌ったMayJ.ばかりがテレビ番組に出ることで、「松たか子=本家」「MayJ.=じゃないほう」という認識が強まっていった。

しかし、この「じゃないほう」という認識は間違っている。2014年、『情熱大陸』に出演したMayJ.がこのように述べた。「なんでエンドソングはMayJ.が歌ってるの?という風に思ってる人が多いっていうのが……そういう仕組なんだけどな、っていう。全世界で必ず劇中歌の人とエンドソングっていうのはアレンジが違う、そして歌ってる人も違うって共通があるんだけど、それを理解されていないのがすごく残念ですよね」。ちゃんと仕組を理解してくださいよ、と視聴者の理解不足を嘆くような言い分に非難が向かったが、彼女の自著『私のものじゃない、私の歌』(なんと切ないタイトルだろう)を読み込むと、その主張の正当性がわかる。

なぜ彼女がエンドソングを歌うことになったのか
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

YoKoof 今頃知って、余計に切ない。→ 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

tamatebako_kou ②同じ疑問を持った人は少なくない。いろいろと背景があったのだろうか。■ 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

KevinMac14YHM NICE な裏話。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite