息子が中学生になり、仲良しの後輩に
「そろそろ海外旅行とか行けるんちゃいますか?」(関西出身)
と言われ、
「せやなあ。…行けたらええなあ。………あ、私パスポート切れてるんちゃうか?!」
と、不安になり、確認すると…切れてる〜!!マジかぁ。10年パスポートやったのに、いつの間に?!私そんなに海外行ってなかったんや…となりました。
そう言えばこのパスポートを見るのも何年ぶりやろか。
人生最初の海外旅行は雑誌の仕事で行ったシンガポール。
まだ10代だったでしょうか。
その時は緊張し過ぎて、行きの飛行機では同行のカメラマンさんやスタッフさんとひと言も話せなかった思い出があります。
まだ時代が良かったのか、ありがたいことにそれから広告などの仕事でも何度か海外へ行かせて頂きました。
仕事を始めてから6年が経ち、24歳で結婚し、夫とも色々出掛けて行きました。
夫と初めてバリ島に行った時、
当時、舞台の役作りのため、パーマをかけていて、ちょっと派手なアロハシャツ(それはただの趣味で)を着ていた夫が、現地の人に連れて行かれそうになった事がありました。
ツアーに参加していて、20人くらいの集団のいちばん後ろを歩いていた私達。
するといかにも現地の遊び人風のちょっとゴッツイ男性が、夫のシャツの裾を引っ張り、
「マリファナ、アルヨ。」と、囁いてきました。
いやいやいやいや、なんで、こんだけ日本人がいて夫にだけ囁くねん!わからんでもないけど。
ついて行く訳ないやん!しかも団体行動中やし!!ウケる。
と、他人のふりをしながらその光景を見ていた私。
夫はなんか、
「いや、僕、いいです。」
みたいな感じで、その見た目に似合わない「The 真面目な日本人」風に丁寧にお断りしていました。
そのバリ旅行中は、夫の見た目が余程現地に馴染んでしまっていたのか、外に席があるカフェでお茶をしていた時も現地の男性に話しかけられて、その人は日本語を勉強中ということで、色々質問されました。
その中で、
「シゴトナニ?」と聞かれ、
「役者です。」と、また真面目に答える夫に対し、その男性は
「オー、ヤクザネ!イッショイッショ!!」
と、シャツの袖をまくり、タトゥーを見せ始めました。
「あ、ちょ、ちょっと違います。」と、慌てる夫に爆笑する妻(私)。
何を真面目に答えてるねん!そしてチンピラ仲間と思われてるし!!
夫との旅行では、韓国に行った時に夫がカジノから全然帰って来なくて喧嘩したり、南国でバナナボートで無茶苦茶振り回されて私が海面に鼻を打って鼻血が出たり…まあ色々ありましたが、夫婦の旅行の話なんて大して面白くないかと思いますので端折りますね。
その後、34歳で出産した私はすっかり育児にパワーを吸い取られ、ショートスリーパーの息子と共に日々を生きて行くだけで必死で、海外旅行どころか国内旅行すら、「疲れそうやからやめとく。」というスタンスになっていきました。
が、唯一、息子が5歳の時に友人とその子供達(ママと息子の少し上の年齢の男の子2人)と
グアムに行く機会がありました。
実はこの時の私の身勝手な行動がきっかけとなり、息子は海外が嫌いになり、それから今に至るまで1度も出国出来ない事態になってしまったのです。
この旅行は前にもこのエッセイに出演したやっちゃんという長年の友人からのお誘いだったのですが、そのなかで1日だけ、「私達の時間」が欲しい!と、半日語学留学というイベントに子供達を行かせて、その間に私達は買い物やランチに行こうと計画しました。「ママ達の悪巧み」ですね。
当時息子は5歳(年中さん)でしたが、時々遊んでいるやっちゃんの息子達(小2と小5)と一緒だし、座学ばかりではなく、バスで水族館にも連れて行ってくれるから大丈夫かなと。
が、息子は20人くらいの参加者のなかで最年少だったらしく、英語がちんぷんかんぷんで更に人見知り彼にとってはとてもしんどい体験になってしまったようで、この時以来、
「二度と海外には行かない。日本大好き。」
という子供になってしまったのです。
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