武田砂鉄の錬金力
こんなにも愛着が湧くなんて。
同じ物事を見ているはずなのに、思いもよらない角度から攻めてくる。
そんな世界が存在したんだ、というまったく予想外な視点。
鼻毛ですよ鼻毛。
なんでもいいからなにか書けと言われて、なにについて書こうか、まったく思いつかなかったとしても、わざわざ“鼻毛”をテーマにしようと思う人はいないでしょう。
この文章は、“鼻毛”に焦点を当てた時点で偉いなのか。
テーマ選びに迷ったときは、鼻毛や耳垢やガムの食べかすのように、どうってことのない、誰も見向きもしないような物事を取り上げれば、文章というものは面白くなるのか。
いや、決してそんなことはない。
鼻毛を選んだから面白いわけじゃありません。
鼻毛というものを分不相応に取り扱ったから面白いのです。
もう、鼻毛鼻毛なんて連発して大丈夫か私、と思わなくもないですが、あえてこういう手法を“鼻毛格差”と名付けて、連呼することにしましょう。
さてまず、この文章において鼻毛はどんなふうに扱われているでしょうか。
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