オンライン講義の視聴が、採用基準になる時代
茂木 前回、北川は、大学のキャンパスがエモーショナルバリュー(情緒価値)のためには必要だ、と言っていたけれど、キャンパスって物理的制約にもなっているんだよね。どうしても入学者を選抜したりしなきゃいけないし、スケーラビリティ(拡張性)がない。
北川 そうですね。
茂木 そこでね、おれ、東大の入学定員を100万人にしちゃえばいいんじゃないかと思うの。
北川 えっ?
茂木 Twitterで前書いたんだけどさ、これ半分冗談で、半分本気なんだ。だって、それってイノベーションでしょ?
北川 それはまさしく、disruptive innovation(破壊的革新)ですね(笑)。
茂木 東大の入学定員を100万人にすると何が起きると思う?
北川 まず、学歴の意味はなくなるでしょうね。
茂木 それくらいのこと考えないと、おもしろくないでしょ、ってこと。そして、それは可能な気がするんだ。しかも、北川の言うエモーショナルバリューも生み出せると思う。最初からできないって言うんじゃなくて、どうすればいいか考えないと。
北川 ひとつは100万人をどう採用するか、ですよね。僕が今、データサイエンスチームの採用をどうすすめているか、という話がつながるかもしれません。まず、データサイエンスなんていう既存の学問はありませんから、何かの点数で合否を決めるというわけにはいきません。しかも、採用しているのは世界各国の人です。そこで、あるオンラインレクチャーを見たことがあるかどうか聞くことにしました。
茂木 ほう。
北川 スタンフォード大学のオンラインレクチャーで、アンドリュー・ングの有名なマシンラーニング(機械学習)のコースがあります。マシンラーニングについて勉強しようと思ったら必ずそれに行き当たるものです。それを何レクチャー目まで見たか質問して、内容について質問すれば、その人の能力は確認できます。
茂木 はー、それでセレクションできちゃうんだね。
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