「秘かに“認められたい”という願望がありませんか」。こんな質問をされれば、たいていの人は「そうかもしれない」と感じてしまうだろう。
この質問は典型的な「コールドリーディング」(事前の情報なしに相手のことを言い当てる心理トリック)で、占いで相談者の心をつかむために古くから使われている。
次の段階では、もう少し具体的に、例えば「子供の頃、ぜんそくとかで苦しみませんでしたか」といった質問が投げかけられる。
子供のころに気管支を患った人は多いので、そこそこの割合で的中する。仮にはずれても「よかった。○○な運勢の人は子供のころ、体が弱い傾向にあるんですよ」と言えば、相談者の不信はほぼ消え去る。
「はずれない予言」も同じ。「○○するのは失敗の可能性が高い」と否定的に答え、「でも、強い意志を持って臨めば運勢が変わる可能性がある」と言う。「近いうちに運命の人と出会う」といった適当な予言をしても、実現すれば「当たった」と評判になる。数人に1人でも当たればいい。評判が口コミで広がるからだ。
もっとも、ある人気若手占い師は「従来のように神秘性ばかりを演出する時代ではない」と切り捨てる。必要なスキルは瞬時に二つの異なるコトやモノを関連づけ、“ストーリー”を創造することだという。
例えば転職の悩みを抱えた依頼者がいて、彼が引いたカードが獅子座のものだったら、「獅子はライオン。ライオンはプライドの象徴。あなたは理想が先行し過ぎだと語っている。もっと妥協する余地があるのでは」と、自身が下した決断を納得できるストーリーを創ってあげるのだ。
特に占い師を頼る動機が「不安」ではなく「自分探し」である場合、このやり方がニーズに合うという。
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この連載について
心理入門 効果絶大! ~人の心を動かす技法~
トップ営業マンは心理学を知らなくても優秀なのだから、営業に心理の知識など必要ない──。本当にそうだろうか? 優秀なビジネスマンを観察すると、本人は意識せずとも「心理テクニック」に当てはまる会話や行動がめじろ押しだ。心理の基本を学べば彼...もっと読む