「うちの子ね、習いごとに行く時間になると、いつも直前で『トイレに行きたい』とか、『ちょっと今日は調子が悪い』なんて言い出すの」
「あー、それね。うちも5歳ぐらいまではそうだったけど、今は言わなくなったよ。あんまり真面目にとり合わないほうがいいんじゃない?」
「あ、うん、いや、それはそうなんだけど……」
雑談においてアドバイスは、禁物です。
「ちょっと困ったことがあって……」「最近、悩んでいてね」などと一見、相談かのような会話は世にあふれています。
ところがほとんどの場合、相手はただただ、話を聞いてほしいだけ。
アドバイスをして解決してしまったら、そこで話はおしまいになってしまいます。
「あんなことも話したかった、こんなことも話したかった」と相手はストレスをためることになります。
そして「まあ、それはそうなんだけど」と、同じ話を続けることもしばしば。そうすると、アドバイスしたほうとしては、「なんだよ、せっかくいい方法を教えてあげたのに」と、こっちもストレスがたまる。
結局、するほうも、されるほうも、得しないのがアドバイスなのです。
そもそも「悩み相談のほとんどは、すでにその人の中で答えが出ている」というのは常識中の常識。仮に「相談にのってほしい」「助言してほしい」と直接言われた場合でも、「難しいねえ」「困るよね」と、最低3回ぐらいはかわして様子を見るのがいいでしょう。
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