神功皇后の凱旋と、カゴサカ、オシクマの謀反①
新羅を討った翌年の二月、皇后は、臣下たちを率いて、穴戸の豊浦宮(とゆらのみや)に移りました。すぐに、天皇の亡骸を収めて、海路、大和に向かいました。
そのとき、カゴサカ(麛坂王)とオシクマ(忍熊王)※1の二人は、天皇が崩御し、皇后が西方を討ち、新たに皇子が生まれたことを知り、
「皇后に皇子ができた今、臣下たちは皆従っている。共議して幼帝を立てるにちがいない。なぜ兄である我らが、そんな弟に従わなければならないのだ」
と言い合いました。そこで密かに謀って、天皇の陵(みささぎ)※2を造ると言って、播磨(はりま)※3に行きました。そして、石を運んで、赤石(あかし)※4に陵を造るためと偽って、船と船とを繋いで橋にして、淡路島から陵用の石を運びました。そこで、部下一人ひとりに武器を持たせ皇后を待ち受けました。犬上君(いぬがみのきみ)※5の祖・クラミワケ(倉見別)と吉師(きし)※6の祖・イサチノスクネ(五十狭茅宿禰)は、共にカゴサカに従いました。
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