彼女の家で陥った超絶ピンチな状況
【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「男らしさクライシス〜ダサいをめぐって」というテーマでお送りしています。
ワッコ 前回はセックスに関するダサいエピソードが中心でしたよね。「勃ち待ち」の話とか、局部に触れることなくイっちゃってそれを隠蔽した話とか。
清田 ダサさを隠そうとするのが一番ダサいのではということになったけど、自分も含めて男性は取り繕ってしまいがちなところがあって……弱さや情けなさをなかなか受け入れられない。
森田 隠蔽の話をしていて思ったんだけど、普通だとダサいことでも、隠さなければ逆にダサくなくなるっていうこともあるよね。
清田 どういうこと?
森田 これは清田と俺の共通の友人であるヤスオという人から、学生時代に聞いた話なんだけど。
ワッコ 実名報道(笑)。
森田 ヤスオが当時付き合っていた彼女の家に遊びに行ったとき、突然お腹の調子が悪くなり……うんこを漏らしちゃったんだって。
ワッコ えええ! 大惨事じゃないですか。
森田 盛大に漏らしたわけではなくちょっと出ちゃったくらいだったらしいんだけどね。急いでトイレに入ってパンツを確認したら、しっかり汚れていた。
ワッコ そこは彼女の家なんですよね?
森田 うん。
清田 超絶ピンチ(笑)。俺はうんこしてるのを悟られるのも恐怖なので、漏らしでもしたらどう隠すか確実にテンパるだろうな……。
森田 普通だとそうなると思うんだけど、ヤスオは違った。トイレから彼女を呼んで、「ごめん。ちょっと漏らしちゃったから、パンツ買ってきてくれないかな?」とドア越しにお願いしたんだって。
ワッコ 正直!
清田 ヤスオがまぶしい……。
森田 彼女はすぐにコンビニでパンツを買ってきてくれたとのことでした。それで「助かった」とヤスオは言っていたんだけど。
ワッコ ……「助かった」のかなあ?
清田 しっかり漏らしてるわけだからね(笑)。
森田 ヤスオは「笑わずにパンツを買ってきてくれた彼女はとてもいい人だ」と言っていたんだけど、俺はむしろヤスオの行動に衝撃を受けた。自分が同じ状況だったら、漏らしちゃったことを素直に伝えられるとはとても思えない。
清田 うんこ漏らすって、男らしさクライシスだもんね。
ワッコ 男らしさっていうか人間クライシスですよ! わたしでも素直には言えないと思います。
清田 確かに、この恥ずかしさは男女関係ないか。
ワッコ むしろ女性の方がさらに言いづらい説も。ただ、隠すにしても対応が難しそう……もしも森田さんだったらどうやって切り抜けますか?
森田 ノーパンでスルーするかなあ。
ワッコ 確かに。けどそれだと汚れたパンツをどうすんだ問題が残りますよね。自分の家だったら捨てられるけど。
清田 ポケットに隠すのも嫌だし……。
森田 そこで誤魔化さずに伝えちゃうヤスオは、すごい人だなと思った。むしろかっこいいとすら感じたよ。
清田 うんこを漏らすという行為自体はダサいのに、ヤスオがダサく思えないのはなぜなんだろう。ダサいと思ってないことがダサくないのかな?
ワッコ というより、ダサいと思っているけど正直に言ってるところがかっこいいんじゃないですかね。ヤスオさんも「脱糞かっこいい」とは思ってないはずなので。
清田 確かにそうか(笑)。
ワッコ 汚いけど清々しさがある不思議なエピソードでしたね。
結婚初夜にまさかの…
森田 ヤスオのことを話していて、自分の結婚初夜のエピソードを思い出したのでこのまま紹介していいでしょうか?
ワッコ それはぜひ聞きたいんですけど、なぜ今の流れで初夜を!?
清田 シモの話が続きそうな予感……。
森田 結婚して新居で暮らし始める日に、引っ越しに合わせて新しい家具が届くように手配していたのね。そのときに、エアウィーヴっていうマットレスも購入していて。
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