猫舌の恋バナ

「若い乙女たちと恋バナをすることもあり、そんなときね。教室の空気がふあっとゆるむ、あの切ない淡い記憶が思い出される。若い子の特権」 と福本さん。
今回は、福本さんが高校生の頃の恋のお話です。思わずときめく、アオハルなエピソードです。


「ちいさん、今まで食したもののべストワンってなんですか?」

これは、これまで出会ったヘルパーさんから結構な確率で聞かれる質問だ。食べることが困難な私の姿を見て、興味を持つのだろう。

私の食のベストワンは高校生の時、軽音楽部の帰りに紙コップで一口飲んだホットチョコレートだ。私が口をすぼめ、熱い飲み物をすすることができないことを知っている人は、なぜホットチョコ?と思うだろうが。

時は四十年前、高校時代にさかのぼる。オルガンとビートルズと、そしてなにより同級生のミッチーが好きだった私は、彼が作ったコピーバンドに加わった。

十年間のお年玉で、キーボードを買って学校に持って行ったあの日。千人の全校生徒の前で、「私は彼が好きです」と暗黙の告白をしたようなものだと、今になって気づく。だからか……彼は私を一番の女友達として、高校三年間寄り添ってくれた。

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「障害マストゴーオン!」が本になりました。連載からさらにパワーアップした、魂込もった千夏節、ぜひお読みください。

障害マストゴーオン!

福本 千夏
イースト・プレス
2019-12-07

この連載について

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障害マストゴーオン!

福本千夏

脳性まひ者の福本千夏さん。 50歳にして就職して、さまざまな健常者と関わる中で、感じた溝を語ります。

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コメント

sakomakoharu 蓋と飲み口が付いた熱くない紙コップなんてなかった時代、ならではの胸キュンな忘れがたい思い出。それにしても、すばらしくかっこいいひとだなぁ。 2ヶ月前 replyretweetfavorite