AV撮影の現場での「一徹地獄」
【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「男らしさクライシス〜『ダサい』をめぐって」というテーマでお送りしています。
ワッコ 前回は森田さんが新婚旅行でダサいのドツボに陥った話を紹介してくれましたよね。
清田 ドツボで思い出したんだけど、この前AV男優の一徹さんと対談させてもらった時に聞いた話があってね。撮影の現場で陥る「一徹地獄」というのがあるらしいのよ。
森田 地獄?
清田 一徹さんがうまく勃たないことがあり、「勃ち待ち」で撮影がストップしてしまうんだって。
ワッコ 勃ち待ちって言葉、初めて聞きます(笑)。
清田 一徹さんの著書『セックスのほんとう』(ハフホストブックス)に詳細が描かれているんだけど、監督やスタッフ、お相手の女優といった全員が待っているその状況が一徹さんにとっては地獄だとあった……一徹地獄という言葉自体は周りの人たちが言い始めたらしいんだけどね。
森田 冷たい視線を感じるのかな?
清田 いや、むしろみんなすごい優しくしてくれるらしい。女優さんも「手伝いましょうか?」とか言ってくれるみたいで。
ワッコ プロのヘルプ(笑)。
清田 そうすると、余計勃たなくなっちゃうらしく……。
森田 想像するとキツいなあ。これは確かにドツボ感がある。
ワッコ 負のスパイラルですよね。
森田 周りからしたら「ダサい」とは思わないだろうけど、一徹さんのなかでは「俺、ダセーな」となっちゃってるかもしれないよね。
清田 一徹さんの状況は特殊だけど、勃たないときに男性が「あれ? おかしいな?」とか「飲みすぎちゃったかな」とか取り繕うっていうのはよく聞く。「勃たないのがダサい」っていう思い込みは、いかにも男らしさに囚われてる感じがする。
森田 ちなみにワッコは勃ち待ちの経験はある?
ワッコ どちらかというと途中で萎えてしまう「中折れ」の方が多いかな。
森田 中折れもそうだけど、相手が勃たないときにダサいと思う?
ワッコ ダサいとは思わないです。でも何を思うかは相手によるような……。
清田 というと?
ワッコ 相手が彼氏だった場合、もし勃たないってことになっても「じゃあ今日は寝るか」って思うだけなんですよ。今勃たなくても、いつかは勃つだろう、と。でも、それが例えばワンナイト的なセックスに誘われた相手だったら結構困るかも。「あれ? うちらセックスするために集合したんじゃなかったっけ……」と目的を見失うというか……。
森田 確かにそうだね。
ワッコ あと、そういう相手が勃たなかった場合、自分のエロポテンシャルのなさが原因なのかもとも思っちゃいますね。
清田 ネガティブな矢印が自分に向かってしまうのか。
ワッコ そういえば前に、ホテルで相手の男性が勃たなかったことがあったんですけど、その人が「AV観てもいい?」と言ってきて、勃ち待ちタイムになぜか一緒に観るはめになったことがあります。
清田 まじか……。
ワッコ 「お前じゃ無理」と言われたような気がして滅入りましたね。しかもそのAVが「バスガイドもの」で、わたしからするとかなりつまらない作品だったんです。
森田 何重にも嫌な体験だね。
ワッコ 画面の中のエロいお姉さんに「チェンジ」された的な……。
森田 しかも、そこからまたワッコに戻ってくるわけで。
ワッコ 他の女性で勃てて、そのボッキをお借りするという意味ではチェンジ以下の屈辱ですよ……思い出したらまたムカついてきました。
清田 全てが失礼すぎる振る舞いだよね。
フリーハンドイリュージョンは意外と起きがち!?
ワッコ 勃ち待ちとは逆で、早々に出ちゃった系の話もあるじゃないですか。前に清田さんが、相手の胸を触っただけで射精しちゃったっていうエピソードを紹介されてましたけど。
清田 ……私がかつてある女性とワンナイトを共にしたときに、前戯の段階で脳内の興奮がピークに達してフィニッシュしてしまったというエピソードですよね。局部に触れられることもなく果ててしまった。引田天功ばりのフリーハンドなイリュージョンということで、天功射精と名付けられましたが……。
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