親を受け入れる、いまの自分を受け入れる

「すぐにびっくりする」「うるさい場所を嫌がる」…。5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。HSCの子を育てる親向けに、「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。『子どもの敏感さに困ったら読む本』をcakesで特別連載!(毎週木曜更新)

親を受け入れる、いまの自分を受け入れる

 お母さんに、ああだ、こうだと文句ばかり言うまだ若い娘さんがいました。
 私は、「あなたは自分はずっと親の犠牲になってきたと言うけれど、お母さんだってそうだったんですよ。お母さんもそういう育ち方をしています。だから、他のやり方がわからなかっただけなんです。そのこと、知っていましたか」と言いました。
 隣でそのお母さんは涙を流していました。いままで娘に話したことはなかったそうです。そういうことは、直接はなかなか言いにくいのです。だから、第三者の私が、お母さんから聞いた話を娘さんに伝えたのです。
 それを知って、娘さんも、「ああ、そうだったんだ……」と泣きました。娘さんはそこで初めてお母さんの心情を理解できるようになり、心のわだかまりが消えました。お母さんも楽になりました。
 そういう連鎖というのがあります。親だって、子どもだったということです。
 人はだれしも、他の人がどう育てられたかを知りません。育てられ方というのは、自分の例でしか知らない。自分が子育てされた傾向というのは身についてしまっているわけですから、自分の子どもを育てるときにも、その傾向が出やすいということです。これは子育てに限らず、どんな人間関係にもいえます。

 たとえば、母親に理解されないで育った子は、母性が弱い女性に育ちます。自分の子どもとの親子関係にもそれが反映されます。そういうときに、母性と父性のバランスを取る必要があるのです。
 バランスを取るということは、たとえば、母性たっぷりのお母さんでも、𠮟っていいんだよ、お父さんみたいなところがあっていいんだよ、ということです。「お母さん」という役割だけを演じなくてもいい。しんどいときは手を離してもいい。そのときに、役割をうまくできない自分を責めないようにすることが大切です。責めるとエネルギーが低くなります。それで鬱になってしまうのです。
 むしろ肯定する、「これでいいんだ」と思えるようになることが一番いいのです。
 敏感で繊細な子との関わりにおいても、一番のポイントは自分を愛すること、自分を責めないことです。敏感気質でつらい思いをしても、それはお母さんが悪いわけではないからです。
 子育てで苦しんできた人に対して、「ここがよくない」とか「もっとこうすればいいのに」と私は言いません。おそらく精いっぱいがんばってきているはずですから。そうではなくて、「これまですごくがんばってきたんだから、少し休んでもいいんじゃない?」と言います。
 緊張を一旦ゆるめてもらいます。張りつめていたものがゆるむと、我慢していたもの、鬱屈していたものがワーッと出てくるのです。
 子どもの弱さを受け入れるということは、自分の弱さをまず受け入れなければいけません。弱さを受け入れるには、敏感さもいいところがあるのだとか、共感性が強いとか、深いところまでわかっているとか、敏感さのいい面に目を向けられたら、受け入れやすくなるでしょう。

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この連載について

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子どもの敏感さに困ったら

長沼 睦雄

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_daisylily "たとえば、母親に理解されないで育った子は、母性が弱い女性に育ちます。自分の子… https://t.co/KzroQrSK5f 5ヶ月前 replyretweetfavorite