会田誠・前編
 机とは、“必要悪”である

美少女、日本、アメリカ、歴史、伝統、戦争、サラリーマンなどをテーマに、タブーやコンプレックス、世の中の矛盾を暴きだす作品を作り続けている美術家、会田誠。そんな「変態」作家の仕事場とはどのような場所なのだろうか。のっけから企画意図を覆す発言が飛び出す、予測のつかないインタビューの前編をお届けする。

「拷問器具」に愛着なんてもてない

9月某日、ミヅマアートギャラリーにて9月某日、ミヅマアートギャラリーにて

— 今日は、普段使っていらっしゃる机を拝見するという企画で、愛着のある机やこだわりなんかについてお話しいただければと思っています。

会田誠(以下、会田) 机との相性はものごころついたときから最悪ですね。机の前でじっとしているのが、死ぬほど苦手。集中できない、落ち着きがない、不注意……、いわゆるAD/HD(注意欠陥・多動性障害)なんです。僕は勝手に「星の子」って呼んでますが。だからもう、学校の授業も苦痛で仕方なかった。

 今でも子どもの授業参観で小学校に行ったり、来年参加する瀬戸内芸術祭の会場となる廃校を見に行ったりして、あの小さな机を見ると、「ああ、昔使われた拷問器具だ」と思ってしまう(笑)。人によっては郷愁をそそられたり、昔を思い出してわくわくしたりするのかもしれませんけど、僕にとってはあの机は拷問器具なんです。

—うわあ……(笑)。

会田 だからね、机自体への愛着とか、これぞマイデスクみたいな机は、ひとつも思い浮かびません。作業をするために、ある程度高さのある平面をつくるためのものでしかない。ただの必要悪ですね。はい。

—なんか、こんな取材してすみません。

会田 いえいえ。もう平面さえつくれればいいので、アトリエでつかっているのは、ニトリで買ったイチキュッパの折りたたみの机。しいて好きな机をあげろと言われたら、そういうタイプかな。折り畳めて、引き出しがないシンプルなものがいいですね。

 でも僕も美大を出てしばらくした頃は、重厚な机を使っていました。たまたま、小学校の美術室で使われていた机を手に入れたんですよ。大きな引き出しが左右にあって、その上に厚い椋(ムク)の一枚板をどーんとのせた机。その前に座ってみるとなかなかいい気分で、しばらくは机として使っていました。でも、1年後にはその机の上に、布団を敷いて寝ていました。狭い下宿だったので、スペース的にそのほうがいい使い道だなと。

—机じゃなくて、ベッドですね(笑)。

会田 結局、それで僕に机はいらないんだとわかりました。

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cakes編集部

あの独創的な仕事をしている人の机は、一体どうなっているの!?――そんな疑問や好奇心に応える連載が「クリエイターズ・デスク」。それぞれの分野で活躍しているクリエイターの机を覗かせてもらい、その仕事のスタイルについてもこってりお話をうかが...もっと読む

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