持ち駒を使えば、行き詰まりを打開できる

プロ棋士の遠山雄亮さんに、「将棋のルールは知っているけれど、どう指したらいいかわからない」というひとに向けて、将棋のエッセンスを教えていただくこの連載。第3回目は、持ち駒を使って行き詰まりを打開する方法や、終盤で優先するべきことをお伝えします。

日本ならではのルール、持ち駒

みなさんチェスというゲームはご存知ですか? ルールまではわからない、という方でも将棋と似ていることは知っているかもしれませんね。
いわゆる将棋カテゴリ(将棋類)にあたるゲームは各国にあります。中国ではシャンチー、韓国ではチャンギといいます。日本ではもちろん将棋ですね。

将棋カテゴリのゲームはそれぞれルールが異なりますが、その違いにその国の文化が反映されているといわれています。
他の将棋カテゴリのゲームと日本の将棋とで大きく異なる点は、持ち駒を使えるところです。諸説ありますが、日本の文化として物を大切にするところからきているといわれています。

この持ち駒を使えるというルールが、前回の最後に出した棒銀戦法の問題を解くキーになります。

持ち駒を使えば行き詰まりを打開できる

簡単に前回のおさらいをしておきましょう。

【図1】

最初に相手が歩を進めてきました。こちらは飛車サイドの銀を前線に繰り出し、前へ前へと進めていきます。

【図2】

銀をもう一つ前に進めたいのですが、相手の歩が待ち構えています。さてどうしたらいいでしょうか? というのが前回の宿題でした。

角で歩を取ればいいと考えた人もいるかもしれません。しかし、そうすると相手の金に取り返されてしまいます。

そこで、持ち駒の歩を使うことでこの状況を打開します。
なお、持ち駒の歩を使う時は「二歩(縦に2つの歩が並ぶと反則負け)」にご注意を。

ここでは自分の歩を相手の歩に相対させるのが正解となる手です。

【図3】

歩が相対すれば相手は取ってくるでしょう。もし相手が取ってこなかったら、こちらの歩で相手の歩を取れると同時に、歩が成って、

【図3−1】

中盤の目的である、「成る」を達成できます。さらに成った歩である「と」を相手が金で取ってきたら飛車で取り返すことができます。

【図3−2】

そうすると、自分の歩と相手の金が交換になり、中盤のもうひとつの目的である「駒得」も果たしました。飛車も「成る」ことができて大成功といえます。

しかし、これは最初の段階で相手がこちらの歩を取らなかったと想定した場合です。相対した歩を取らないなんてことはそうそう起こりませんから、歩を取られるという前提で考えましょう。ということで、最初に戻ります。持ち駒の歩を、相手の歩に相対させたところです。

【図3(再掲)】

相手は当然、相対した歩を取ってきます。その歩を銀で取り返します。

【図4】

銀が前進し、「成る」まであと一歩です。

ここで相手が銀の前に持ち駒の歩を打ってきました。

【図5】

さあ大切なところです。この歩を取るか銀を逃がすか。

正解を言えば、この歩を取ってしまいましょう。

【図6】

(全=成銀)

相手も金で取ってきます。

【図7】

さらにその金を飛車で取ります。

【図8】

最後の図を中盤の目的に照らし合わせてみましょう。

こちらが得たのは金+歩、相手が銀、少しだけ「駒得」といえます。
そして飛車を「成る」ことに成功しました。
中盤における2つの目的を達成したので、棒銀戦法大成功です!

扉を開ければあとはドンドン侵入できる
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大人の教養としての将棋入門

遠山雄亮

テレビ・ネット中継なども盛んに行われ、広く人々の知的好奇心を刺激する頭脳ゲーム、将棋。先読みや判断力が求められる将棋は、思考力を鍛える抜群のトレーニングにもなります。この連載では、「将棋のルールは知っているけれど、どう指したらいいかわ...もっと読む

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