将棋のキホンは棒銀戦法にあり

プロ棋士の遠山雄亮さんに、「将棋のルールは知っているけれど、どう指したらいいかわからない」というひとに向けて、将棋のエッセンスを教えていただくこの連載。第2回目は、対局が始まったらどう駒を動かしていけばいいかを解説しつつ、「棒銀戦法」について教えます。

将棋をおもしろくしている、駒の役割分担

将棋の駒は全部で8種類あり、それぞれの駒の名前には古来の宝物から由来がきているものがあります。
金や銀はそのものですね。玉は、昔の意味では宝石です。桂はシナモン、香は香料と言われています(諸説あり)。
それぞれに名前がついているだけに、各々に個性があり、役割分担が決まっています。それが将棋というゲームを面白くしているのです。

玉は大将で取られたら負け。なので玉は守られるべき存在です。
では誰が守るのかというと、その役割は金に与えられています。
最初に駒を並べるときも金は玉に寄り添っていますね。

飛車と角は攻撃のツートップです。相手の玉をつかまえるために使いましょう。
他の銀・桂・香・歩は、玉に近いときは守り重視、遠いときは攻め重視と覚えておきましょう。

さてこの個性を元にして、どう駒を動かすのかを考えてみます。 序盤、中盤、終盤、というのは将棋に限らず聞く言葉ですが、将棋ではそれぞれの段階で目的がはっきりしているため、よく使います。

序盤は、攻めの形とスキのない陣形を作る

将棋の序盤は初手(第一手目)から駒を進めていき、戦いが始まる(駒交換が活発になったり、成り駒が増える)までを指します。攻めの形とスキのない陣形を作るのが目的です。

私のプロ公式戦から序盤の例を一つ。

【図1】


若き日の豊島将之六段(当時、現名人)と筆者の対局より

飛車と角、そして玉から遠い銀や桂や香や歩を使って攻めの形を作っています。 金などの駒で囲い(両者ともに穴熊囲い)を作ってスキのない陣形を作っていることを感じ取ってください。

対局が始まったら、飛車と角を働かせる

さてここからは、ひよこ(第1回でご紹介した『ぴよ将棋』アプリのことです)に8枚落ちで対戦する際に、どう駒を動かせばいいのかを解説していきます。
平手(駒を落とさずに対戦すること)でも8枚落ちでも、最初は飛車と角を働かせることが重要です。

【図2】


(駒落ち戦では駒を落としたほうが先に指します)

角は最初の位置だと一歩も動けません。そのままでは石と同じです。
角の斜め前の歩を一つ進めることで角が動けるようになりました。
どこまでも一気に行けるので、道を開ければ角は十分に働きます。

【図3】

飛車の前の歩を一つ、二つと進めることで飛車が働いてきます。
飛車は最初の位置だと横にしか動けず、前に進まなければ攻めに使えません。 そのためには目の前にいる歩が邪魔なので、その歩を一つずつ進めていくのです。
そして自分の番がきたら、もう一つ前に歩を進めましょう。

【図4】

飛車の前の歩を三つ進めたところです。
歩が相対すると、手番のほうがその歩を取ることができます。
よってこの歩は相手に取られてしまいます。そのため抵抗のある手でしょう。
しかしこの場合、相手に取られても、

【図5】

飛車で取り返せるのです。
下の図6を見てください。

【図6】

飛車が縦横無尽に動けるのがお分かりでしょう。
それも飛車の前の歩を動かしていった効果です。
ここまでの手順は8枚落ちに限らず、平手から10枚落ちに至るまで通用する指し方です。
これを覚えておけば、まず対局が始まったときに何を動かせばいいのか迷うことはありません。

中盤は「駒得」と「成る」を目指す
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大人の教養としての将棋入門

遠山雄亮

テレビ・ネット中継なども盛んに行われ、広く人々の知的好奇心を刺激する頭脳ゲーム、将棋。先読みや判断力が求められる将棋は、思考力を鍛える抜群のトレーニングにもなります。この連載では、「将棋のルールは知っているけれど、どう指したらいいかわ...もっと読む

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funnytoyama cakesでの連載、第2回が本日更新です。 第1回には予想以上の反響がありました。 将棋のキホン、ここで学んでください! 12日前 replyretweetfavorite